吉田秀和 名曲のたのしみ 2012年4月14日放送分

今日はラフマニノフの連続放送の19回目にあたります。まず練習曲、又の名「音の絵」作品33、これから聴きましょう。ラフマニノフはピアノのための練習曲をそれぞれ9曲づつからなる二組書き残しています。それが作品33、および作品39として出版されてます。ラフマニノフは音の絵と銘打ってはいるけれどもどんな絵を考えていたのか言葉としては彼は一言もはっきりさせていない。但し後になってイタリーの作曲家レスピーギがこの曲集の中で5曲を取り出して来てオーケストラ用に編曲した時に改めてラフマニノフに向かってどういう絵を考えているのか聞いたことがあってそしたらラフマニノフはある程度具体的な返事もしたらしいんですね。だがそれは文章として残っていない。今日聴くのは第1曲、第2曲、第3曲、次の第4曲は改作されて第2巻の第6曲として組み入れらているんで今日ではこの練習曲全曲やるような時には弾かれないのが普通です。第5曲、ここまで4曲続けて聴きましょう。アシュケナージの演奏です。〜音楽〜

続いて第6曲から第9曲、ウラジミール・アシュケナージのソロでもって聴きましょう。〜音楽〜

次に歌曲集作品34、今日は第3曲から「嵐」、第4曲「移りゆく風」第5曲「アリオン」ここまで3曲続けて聴きましょう。エリザベート・ゼーダーシュトレーム のソプラノ独唱、ヴラディーミル・アシュケナージのピアノで聴きましょう。~音楽~

次は第6曲目「ラザロの復活」、第7曲「ありえない」、第8曲「音楽」ここまで聴きましょう。〜音楽〜

第9曲「君は彼を知っていた」、第10曲「その日を覚えている」、第11曲「小作の農夫」、第12曲「何たる幸せ」以上続けて聴きましょう。〜音楽〜

第13曲が残りましたけれどもこの次に致しましょう。今日聴いたのは云々。それじゃあ又、さよなら。

名曲のたのしみ、お話しは吉田秀和さんでした。

東洋文庫 陳独秀文集1 (1904〜1921)

陳独秀安徽省の生まれ、中国共産党の設立者で初代NO.1であるが後に除名され四川省に隠遁し63歳で死去した。本書は雑誌に掲載された政治論集及び漢詩などからなる。

「安徽俗話報」創刊の理由(1904年3月31日掲載)

要するに安徽省には新聞が無い→学校で学ぶにはとてもお金がかかる→安徽省の言葉で作った値段の安い新聞を作りました→国内の最新の情勢を知ることができ娯楽用の読み物も載っている→金持ちも貧乏人も商人も労働者も買って読んで下さいという主張である。

何しろ新聞もないので八カ国連合軍が北京を占領していた頃義和団が勝利したと皆で噂していたくらいである。今の東三省の件(日露戦争)についてもいち早く経過をお知らせしたいと筆者陳独秀は述べている。

「中国の瓜分」(1904年3月31日掲載)

今の国内情勢について述べている。 ロシアはすでに東三省(遼寧省吉林省黒竜江省)を占領し、さらに直隷、山西、陝西、甘粛を占領しようとしている。ドイツは山東、河南を占領しようとしている。フランスは雲南、貴州、広西を占領しようとしている。日本は福建を占領しようとしている。イタリアは浙江を占領しようとしている。長江に沿った四川、湖北、湖南、三江の数省は、イギリスの名の下に分けられているという。聞くところでは数ヶ月前にイギリス人は両江総督に三つのことを迫ったという。

1 イギリスが大総督一人を派遣し、南京に駐在させ、長江沿いの各地方を管理すること。 2 瓜州口(長江と大運河が交わるところ)に大軍を駐留させること。 3 長江沿い一帯の要地に砲台を修築すること。

もしそのとおりにしたら東三省におけるロシアと同様、この長江沿いの数省はきれいさっぱりイギリスのふところに入ってしまうのではないか。

新青年』宣言 1919年12月1日「新青年」第7巻第一号掲載分より一部を紹介する。 われわれが理想とする新たな時代、新たな社会は誠実で、進歩的で、積極的で、自由で、平等で、創造的で、美しく善なるもので、平和的で、相互扶助的で、勤労して楽しく、社会すべてが幸福となるものである。虚偽で、保守的で、消極的で、束縛的で、階級的で、戦争、反目対立があり、怠惰で鬱屈し、少数だけが幸福となる現象は漸次減少し、消滅するよう希望している。

われわれ新社会の新青年は、当然労働を尊ぶ。だが、労働は個人の才能興味に合わせ、自由で愉快な芸術美に昇華すべきで、神聖な労働を衣食維持の条件とみなしてはならない。

なかなか良い社会を陳独秀は思い描いている。だが暴力革命を経て中国が歩んだ道はどちらかといえばやはり後者である。実現手段が非常に難題である事は確かだ。

映画 平成狸合戦ぽんぽこ (1994)

1994年の配給収入一位で26億3000万である。二位のゴジラVSメカゴジラ 18億7000万は今回見ない。

多摩丘陵の大規模な開発が始まった頃の危機に瀕した狸の反乱を描くお伽話である。山を削り森林を更地にして人口30万のベッドタウンが作られる。縄張り争いしていた狸の集団は一致団結して工事を妨害する。人間をばかして混乱を生じさせる。そのため現場の人が3名死亡する。ここまで来るとテロになるし人間にもだんだん感づかれてくる。狸達もやや日和った状況の下四国と佐渡から招聘した長老が到着しいよいよ妖怪パレード大作戦を決行する。大いに世間を騒がせたが多摩ワンダーランドがやった事と報道され鎮静化する。この作戦で長老が殉死したが阿弥陀仏西方浄土から雲のタクシーに乗って迎えに来た。

狸達は失望するが狐が間に入って狸が多摩ワンダーランドに就職する誘いが来る。集会では犯行声明を出すか、テロに走るか、もう一度妖怪大作戦をやるかで意見が分かれていた。だが結局多摩ワンダーランドの社長をだまして1億円を強奪し多摩狸の逃走資金に充てる。一方別のグループと機動隊が衝突する。テレビ局もやって来て狸さん出てこいと呼びかける。狸達はカメラの前で犯行声明と森の存続を訴えた。だが工事は続き緑地は一部残ったが多摩ニュータウンは完成した。

狸達はついに人間達に敗れたのである。並みの狸達は宝船に乗って騒ぎながら何処かへ去って行った。妖術が使える狸は多摩に残ったと言う。残った狸は最後の妖術を行い多摩丘陵の原風景を再現して物語は終わる。

後日談 多摩を出た狸はまだ自然が残る町田へ行き、変化できる狸は人間社会に入って行った。目の下に隈ができ栄養ドリンクを飲んでいる会社員をみかけたらそれは狸かもしれない。

映画 ゴジラvsモスラ (1993)

この映画は1993年の配給収入一位で、22億2000万となっている。

児童を対象とする映画としては良く出来ているのでは無いだろうか。怪獣で心を鷲掴みにし科学のテイストがあり、環境問題、夫婦問題まで織り込んであるので中学位までは守備範囲に入るだろう。特撮技術は手堅いもので破壊シーンがふんだんにある。ゴジラとバトラは着ぐるみのようだ。登場人物が富士山噴火?と言えば富士山の絵が出てきてゴジラ?と言えばゴジラが現れる。現実では何が実際に起こっているのかはわからないし戦闘でも相手は見えないことが多い。モスラもバトラも善意と自己犠牲で行動したが現実ではそんなことは一切起こらない。世の中はもっと複雑で利己的なのだ。児童らにとっていつ現実を知るのが良いのだろうか。

怪獣が大暴れすると実際にはこうなるという映画に「クローバーフィールド(2008)」というのがありこれにはとても感銘を受けた。

前略おふくろ様 II 第17回 (1977)

早朝の市場食堂。政吉が伝票を確認している。牛丼と味噌汁が運ばれて来る。政吉が先輩風を吹かせて割戻金をサブにも分けてやりビールも注文する。サブは割戻金は受け取らなかったがビールは頂いた。

昨日から女将が宮崎に二泊の旅行に出かけているが仲居達にたちまち嘘だとバレている。一緒に旅行に行っているはずの美乃屋の女将が東京にいたのだ。そこへ冬子お嬢さんが現れて女将の宿泊先を教えてくれと言う。

蔵王ではおふくろ様が周囲からお金を借りまくっては借りた事を忘れていると言う。仲居の京子さんが教えてくれた。サブが蔵王に電話して借金の総額を調べると5万2千3百円だった。何とかしようとするが余裕は無い。

政吉が仕入れの店を変えた事を修に指摘される。秀さんも物がよくない事を指摘したがそれ以上は言わなかった。ヤキモキしたお嬢さんがサブに美乃屋に電話してと言う。サブはそういうのは嫌すよと断った。

その夜政吉とサブが飲み屋で会談する。分田上時代の後輩の正も席についていた。正は随分貫禄が付いている。サブが政吉にやっぱりお金を下さいと言うと2万渡してくれた。政吉が改まって本題に入る。修の給料が20万だと言う。自分は9万だと言う。ここに居る正は18万だと言う。30になる自分はこれでは所帯も持てやしない。だから近々店を移るつもりだと言う。仲居も二人誘うと言う。サブもどうかと持ちかけられたが思い悩む。だが給料が7万から20万に上がるチャンスである。

翌朝仕入れの時に普請中の店を政吉と下見に行く。カウンター式の高級店だ。昼食の時サブの浮かない顔をかすみちゃんがじっと見ている。何かあったのと聞いて来た。3万、いや5万貸してくれないかとかすみちゃんに打ち明ける。かすみちゃんはいいわよと言うがサブはやっぱりいいと言う。

秀さんが二人を呼んで割戻金の事を問い詰める。修が調べて店に白状させたと言う。二人はそれでも否認した。秀さんは二人に出て行ってくれと言った。女性陣がお金を出し合ってサブに使ってくれという。それと秀さんに謝って店に居てくれという。アパートに帰ると冬子お嬢さんが待っていた。今日の事でサブに一言お礼を言う。冬子お嬢さんもサブに辞めてもらいたく無いようだ。

翌日サブは店に出ずパチンコを打つ。午後は映画館に行く。喫茶店でタバコを吸いながら店の事を考えている。そこへ半妻が現れた。半妻がサブをひっぱたいて店に連れて行くと政吉が普通に働いていた。サブは驚くが皆んな何も言わずに働いている。サブが嘘をつきましたと謝ると秀さんはもういいと言った。女将も旅行から帰って来て何とか元の日常に戻った。