2015-10-02から1日間の記事一覧

埴谷雄高 死霊 その6

首猛夫は自己の妄想をギリギリまで絞り出してとうとう死の社会学という概念を得る。これと黒田健吉の無限大の逸脱、三輪与志の虚軆、それに矢場徹悟の考えている何かを合わせれば大思想というべきものになるのではないかと首猛夫は眼を輝かせながら思った。…

岸辺のアルバム 第12回

担任のアパートを則子が訪ねる。繁の変調の事で相談である。繁は大音量のハードロックをかけて部屋に閉じこもっている。担任と繁はスナックで面談する。繁は家をめちゃくちゃにするんだというが理由は言えない。担任は繁が恵まれていると指摘するがその平穏…

岸辺のアルバム 第11回

OLの話は謙作が会社で行っている悪事のことだった。東南アジアの女性を社員として雇い日本でホステスをさせると云うものだ。ここは原作を改変した所で本当は死体の輸入という事だった。どっちが衝撃的と言えるだろうか。よくわからない。繁は謙作の部下を呼…

埴谷雄高 死霊 その5

かつての旧制高校時代に寮の小図書館に居住していた黒川健吉は都内の大学に進学したが今は郊外に屋根裏部屋を借りて一人で住んでいる。大学へはほとんど行かず昼間は寝て夜になると徘徊するという毎日である。近所に住む朝鮮籍の人物と懇意になり時々挨拶を…