東洋文庫 続日本紀 (797)

文武元年(697年)8月17日文武天皇が即位しその時の詔 現つ御神として大八嶋国をお治めになる天皇の大命として仰せになる大命を、ここに集まっている皇子たち、王たち、百官の人たち、および天下の公民は皆承れと申しわたす。 高天原にはじまり、遠い先祖の…

ガルシア・マルケス 「東欧」を行く (1957)

コロンビア出身のジャーナリスト兼作家のガルシア・マルケスが仲間と東欧世界に入り込み数編のルポルタージュをものにする。東欧世界とは東ドイツ、チェコスロバキア、ポーランド、ソ連、ハンガリーである。東ドイツではブルジョアは補償金と引き換えに財産…

東洋文庫 源頼朝 山路愛山 (1906)

市井の歴史著述家である山路愛山の「時代代表 日本英雄伝」のうちの第五巻に当たるのが本書である。この企画は日本全史を10人の人物を中心として書こうとするもので、本書では平将門の乱(939)から奥州征伐(1189)までを一気に読むことができる。文章の一…

東洋文庫 韃靼漂流記 (1647頃)

越前国坂井郡三国浦新保村の商人竹内藤右衛門らの松前貿易の船三隻が三国浦を出たのが寛永21年(1644年)4月1日のことである。佐渡島を出発したところ、5月10日からの暴風で船は流され人のいない山ばかりの処へ漂着した。小舟でやってきた現地人らと言葉が通…

2019年若い人に贈る読書のすすめ

今年も若い人に贈る読書のすすめが発表されている。全部アマゾンの書評を読んだうえでこの4冊を注文することにした。但し「世界の終わりの天文台」は「渚にて」に、「大人のにほんご事典」は「読書する人だけがたどり着ける場所」に変えてある。

東洋文庫 中国・朝鮮論 吉野作造 (1904〜1932)

本書は雑誌などに発表された吉野作造の論文集である。吉野作造は袁世凱の子息の家庭教師を勤めた経歴があり清国の内情につとに詳しいところがある。 再び支那人の形式主義(1906) (略) 例えば、直隷袁世凱氏は比較的廉潔公正にして、鋭意進歩改善の功を奏…

東洋文庫 清俗紀聞 1(1799)

本書は長崎奉行中川忠英が部下に命じて長崎に来ている清国商人から聞き取り調査を行なわせ、当時の清の文物、風俗を絵図と短い文章でしるしたものである。幕吏である近藤重蔵らと長崎唐通事を動員して行なわれた。同じく東洋文庫の清嘉録(1830)とは内容と…

ハーバート・ノーマン全集 第1巻

ハーバート・ノーマンはカナダ人宣教師の息子で長野県軽井沢町で生まれ幼少時を過ごした。国に戻るとトロント大学、ケンブリッジ大学、ハーバード大学を卒業、カナダ外務省に入省し外交官として来日しGHQと関わりを持つ。アメリカでの赤狩りが始まり共産主義…

東洋文庫 マテオ・リッチ伝 (1969)

著者の平川祐弘氏は東大教養学部出身の比較文化学者で主に西洋の文献を元にしてこの書を著したと思われる。ここでは全3巻のうち第1巻の要約を記す。 マテオ・リッチは1552年イタリアのマルケ地方に生まれた。巨匠ラファエロ、サン・ピエトロ寺院の設計者ブ…

東洋文庫 塩鉄論 (紀元前1世紀)その2

この部分が聞き覚えのある感じがするので書き留めておく。 御史大夫「書物をひろげ読みおぼえて、死人のことばを口ずさむような文学とは、私たち役人は異なります。文学は牢獄が法廷のうしろにあるのを知っているが、実際の事件を知らないし実際の事件を聞い…

東洋文庫 塩鉄論 (紀元前1世紀)

本書は前漢の昭帝の治世に政府側代表と知識人とで行なわれた議論を著者の桓寛がまとめたものである。冒頭の部分を抜粋する。 文学「(略)ところが今日、郡国で塩・鉄・酒の専売、均輸の制度が行われ、人民と利益を争っているので、人情に厚い素朴な気風が失…

東洋文庫 貞丈雑記1 (18世紀後半)

本書は伊勢貞丈が生涯にわたって著した武家の故実便覧といったものである。伊勢家は小笠原流の二家と並ぶ武家故実家で旗本であり、武家儀礼の下問に答える家柄である。全16巻よりなり貞丈雑記1には1〜4巻が収録されている。以下抜粋。 巻の一 礼法の部 一【…

湿原のアラブ人 ウィルフレッド・セシジャー (1964)

イートン校、オックスフォード大の出身の貴族で王立地理協会会員であり探検家のウィルフレッド・セシジャーはサウジアラビア、クルディスタンを旅した後、とても気に入ったのかイラク南部の湿地帯に長期滞在しこの本を記した。 チグリス川、ユーフラテス川に…

東洋文庫 ゾロアスター教論考 (エミール・バンヴェニスト1926、ゲラルド・ニョリ1985)

本書はコレージュ・ド・フランスでの二つの講義録の日本語訳である。 第一部 『主要なギリシャ語文献に見るペルシア人の宗教』はエミール・バンヴェニストによる1926年の講義で以下の四章からなっている。 第一章 資料全般ーゾロアスターの神話的年代 ギリシ…

東洋文庫 古書通例 (1985)

著者の余嘉錫は1884年湖南省常徳に生まれる。科挙に合格し、北京大学で教鞭をとった後カトリック系の輔仁大学の教授になった人である。この本は副題に中国文献学入門とある様に実際に文献に当たる時の心得や落とし穴について詳述したものである。以下は本文…

東洋文庫 日東壮遊歌 金仁謙(1764)

第11次朝鮮通信使節に書記として随行した金仁謙による随行記で全文ハングルで書かれているのが特徴である。 (1763年9月9日)英祖39年8月3日ソウルを出発。総勢484名、その内、両班は52名である。著者は57歳と高齢ながら宴会を楽しんだり妓生好きの兵房軍官…

東洋文庫 明治日本体験記 (1876)

本書はグリフィス著 「皇国(1876)」の序文と第二部の日本語訳である。 グリフィスは1870年(明治3年)に福井藩のお雇い外国人教師として横浜にやってくる。 横浜の情景 静かな古来の富士から目を移すと日本在住の外国人のにぎやかで新しい町が、日の光をい…

河出書房新社 太平記 山崎正和訳(1370ごろ)

東洋文庫に倣って太平記の現代語訳を読んで見た。東洋文庫3巻分の分量がある。 巻の十一 (前略) 承久からこのかた、北条氏が政権を執って九代、年月はすでに百六十余年に及び、一門は世に栄えて、勢い盛んなあちこちの探題や守護となり、その名を挙げて天…

東洋文庫 七王妃物語 ニザーミー(1200)

著者のニザーミー(1140〜1203諸説あり)はガンジャ(今のキロヴァバード、カスピ海の西)出身で生涯をそこで過ごした。「四つの講話」を書いたサマルカンド出身のニザーミーとは別人である。三人の妻と一人の息子がいる。ニザーミーはあらゆる学問に通じ膨…

東洋文庫 朝鮮小説史 (1939)

著者の金台俊は京城帝国大学朝鮮語学科を卒業、後に地下活動に参加し延安に脱出した。朝鮮独立後は反米闘争を行い李承晩政権によって処刑されている。 上古時代においては文学と言えるものは存在しない。三国時代に書かれたとされる金大問「鶏林雑編」、「花…

東洋文庫 ハーフィズ詩集 (14世紀)

ペルシャ文学における最高の詩人は民族英雄叙事詩ではフィルドスウィー、四行詩ではオマル・ハイヤーム、頌詩ではアンヴァリー、ロマンス叙事詩ではニザーミー、神秘主義詩はルーミー、実践道徳詩はサアーディー、抒情詩はハーフィズと言われている。今回紹…

東洋文庫 則天武后 郭沫若 (1962)

郭沫若の書いた全4幕ものの史劇である。通説とは真逆を行くもののようである。以下概要を記す。 すでに権力を手にしていた則天武后は病弱な夫である高宗と第二子である太子賢と洛陽の宮殿に住んでいた。門閥を排し人材を登用し民衆の声を聞く政治を行ってい…

りんごの木の下であなたを産もうと決めた 重信房子 (2001)

1971年3月1日家族を捨てベイルートに到着した著者は、緊迫した中東の情勢を肌で感じていた。前年のPFLP(パレスチナ解放人民戦線)による革命飛行場作戦、それに対するヨルダン政府による弾圧(ブラックセプテンバー)が起こり、国王親衛隊による右手狩りも…

東洋文庫 ペルシア逸話集 (11、12世紀)

本書はペルシア逸話集と題されているが「カーブースの書」と「四つの講話」からなっている。 カーブースの書 これはカスピ海南岸地域に成立したズィーヤール朝(927〜1090頃)第7代王カイ・カーウースが息子ギーラーン・シャーのために著わした教訓の書であ…

東洋文庫 鸚鵡七十話 印度風流譚 (7〜12世紀)

ハラダッタの息子マダナセーラとクヌダーコーシャの美しい娘プラヴァーヴァーティーが夫婦になり愛欲の限りを尽くしていた。周りが見兼ねて忠告するとマダナセーラは商売をするため旅立つことにした。残されたプラヴァーヴァーティーの悲しみを癒すように鸚…

東洋文庫 パンソリ 申在孝 (1870年ごろ)

本書は民衆の芸能であるパンソリを 申在孝が脚色、筆録したものの日本語訳である。四つの演目が収録されているが冒頭にある「春香歌」の内容はこんなものである。 湖南左道の南原府に妓生の娘として生を受けた春香は絶世の美女であった。府使の令息である若…

東洋文庫 薔薇園 サアディー 著 (1258)

この書はシラーズ出身の天才詩人サアディーが書いた散文と詩による道徳の教えである。読んで行くと商売上手なアラブ人の事を敵視しているのが窺える。 第3章 物語15 私はある砂漠のアラブ人がバスラの宝石商らの仲間に加わり、こう語っているのを見た。「砂…

石原家の人々 石原良純著 (2001)

石原家次男の著者による回想的ルポルタージュである。家長たる石原慎太郎と妻典子、4人の子供達が逗子の入り江を見下ろす豪邸で繰り広げる緊張した生活と成城に住む叔父裕次郎との交流を中心に描かれている。著者は次男の立場で物を見たり経験したりしており…

世界史を知るには

東洋文庫を全部読むことが近道である。 毎週一冊を無理矢理に読んで梗概を書くことにしている。一年で50、十年で500である。

東洋文庫 法顕伝(4世紀)・宋雲行紀(6世紀)

東晋時代の僧である法顕は399年慧景、道整、彗応、慧嵬らとともに長安を旅立った。天竺に律蔵を求める旅である。隴山を越え、乾帰国で夏坐(3ヶ月の坐禅)しさらに進み張掖鎮に至る。そこでも夏坐し敦煌に至る。ここには大きな防御設備(辺塞)がある。一と…