アレクサンドロス大王東征記 アッリアノス著 (紀元2世紀)(2)

第4巻のまとめ アレクサンドロスはタナイス川(シルダリヤ)のほとりに町を建設し、これを自分の名前を持つ町にしたい、という考えをいだいた。これは今のホジェンドというのが定説である。フェルガナ盆地の入り口に位置する。ちょうどその頃川の周囲に住む…

アレクサンドロス大王東征記 アッリアノス著 (紀元2世紀)(1)

この本を読まないわけにはいかない。一番面白いところを抽出する。 第3巻のまとめ まだカブール側に居たアレクサンドロスの軍勢はベッソス追撃の為ヒンドゥクシ山脈を越えバクトラを目指す。その途中町を建設してアレクサンドリアと命名した(おそらくバグ…

東洋文庫 小梅日記 1 (1849〜1885)

和歌山藩の藩校である学習館の教師で下級武士の川合梅所の許に16歳で嫁いだ川合小梅(1804〜1889)は女房として藩校を切り盛りする傍ら日本画を描き膨大な日記を残した。30歳で長男雄輔を産んでいる。 東洋文庫には嘉永二年(1849)元日からの日記が収載され…

新訳 世界史資料・名言集 山川書店(1975)

今回購入したのは1版38刷(2006)となっている。古代から現代までの歴史史料や著書から抜粋したものを並べている。史料の原文の日本語訳に直接当たる体験ができて大層便利な物である。東洋文庫を片っ端から読んで行くのと割と近いものがあるのだが少々気にな…

シルクロード文明誌図鑑 ジャン・ピエール・ドレージュ著

本書はナショナルジオグラフィックに出て来るような雄大な写真と短い文章、マルコ・ポーロや玄奘からの引用文からなる大型本である。文章から思い描いていた土地の風景を映像化する助けになってくれる本である。それとNHKのシルクロード、シルクロード第2部…

東洋文庫 トルキスタン文化史 1 V.V.バルトリド (1927)

本書はソビエト科学アカデミー創立200周年を記念して企画されたロシア領トルキスタンの総合解説書のモノグラフの一つとして書かれたものを大幅に改定してできたものである。第一章 前イスラーム期から一部抜粋する。 われわれの知る中央アジア最古の文化的な…

東洋文庫 大旅行記4 イブン・バットゥータ (1355)

カスピ海北岸の町サラーから10日間の旅を続けてサラージュークの町に着く。この町で弱った馬を売りラクダを買う。アラバを引かせるのである。この先は牧草の少ない荒地なので30日間昼夜22時間走り続ける。著者らもドゥーキーを煮立てた粥に干し肉と乳をかけ…

東洋文庫 大旅行記2 イブン・バットゥータ (1355)

1326年9月1日ヒジャーズ巡礼キャラバン隊がダマスカスを出発しキスワという村に停泊する。著者はこのキャラバン隊と同行する。キャラバン隊長はサイフ・ウッディーン・アルジューバーンで法官はシャラフ・ウッディーン・アルアズルーイである。次にサナマイ…

東洋文庫 後は昔の記 林董回顧録 (1911)

林董は1850年佐倉に生まれる。漢学を修め12歳の時幕府御典医林洞海の養子となる。ヘボン夫人の英学塾に入門し幕府派遣英国留学生となる。開陽丸の乗組員になり榎本武揚の教えを受けるが反乱軍として捕られ弘前藩に禁錮となる。その後は外務省書記官となり岩…

東洋文庫 ヴォルガ・ブルガール旅行記 イブン・ファドラーン著 (923)

アッバース朝のカリフ、ムクタディル・ビッラーの命によりバクダッドからヴォルガ・ブルガール王国へ使節団が派遣される。本書はその時随行した著者による報告書である。 西暦921年6月21日バクダッド出発。ホラーサーン門を出てホラーサーン街道を東に進む。…

ウィリアム・アリスター著 キャンプ (1989)

通信兵として訓練キャンプにいた 著者は極秘任務に応募して合格する。だが派遣された先は大英帝国の東の端、香港だった。ネイザンロードを誇らしげ に行軍したのはいいが三週間もすると太平洋戦争が始まり日本軍の進攻を受ける。部隊はあっという間に壊滅し…

東洋文庫 パンジャーブ生活文化史 (1859)

著者のヌール・アフマド・チシュティーは祖父の代からラーホールに住む貴族の家系に生まれた文筆家である。この書はパンジャーブ地方の習俗、風習について書いたもので、イギリス人官僚に現地語を教えていた著者が彼らの学習のために便宜を図ったもののよう…

東洋文庫 魏晋南北朝通史 内編 (1932)岡崎文夫著

宦官による政治腐敗が進み後漢が黄巾の乱によって滅亡して行くところから始まって楊堅が陳を征伐するまでを詳述する。陳寿の「三国志」、李延寿の「北史」「南史」、司馬光の「資治通鑑」、銭大昕の「二十二史考異」、王鳴盛の「十七史商榷(しょうかく)」…

東洋文庫 詰むや詰まざるや

本書に収録されている将棋無双(1734)と将棋図巧(1755)はそれぞれ伊藤宗看、伊藤看寿が将軍に献上した詰将棋集で二人は兄弟である。宗看は 7世名人として33年間在位した。100問づつ計200問ある。 無双第1番は実戦タイプの11手詰めである。 図巧第90番は…

東洋文庫 陳独秀文集1 (1904〜1921)

陳独秀は安徽省の生まれ、中国共産党の設立者で初代NO.1であるが後に除名され四川省に隠遁し63歳で死去した。本書は雑誌に掲載された政治論集及び漢詩などからなる。 「安徽俗話報」創刊の理由(1904年3月31日掲載) 要するに安徽省には新聞が無い→学校で学…

東洋文庫 ペルシア民俗誌

コルスムばあさん(A・J・ハーンサーリ著)と不思議の国(サーデク・ヘダーヤト著)の合本である。成立年代は前者が17世紀後半、後者が1933年となっている。A・J・ハーンサーリはイスファハン在住の法学者、ヘダーヤトはテヘラン在住の作家である。 コルスム…

東洋文庫 晩清小説史 (1937)

この書は阿英(1900ー1977)による文芸評論で晩清期(1840ー1912)の主な小説の紹介、時代背景の解説、小説論からなる。 李伯元(李宝嘉)(1867ー1906)の作品では「官場現形記」が有名であるが本書では「文明小史」を紹介している。湖南の永順事件について…

東洋文庫 元曲五種 (14世紀頃)

楊氏の女 狗を殺し夫を勧(いさ)むる雑劇 南京の裏通りに代々住む孫大というお金持ちがいた。妻は楊氏と云い弟は孫二と云った。ところがこの兄は柳隆卿、胡子転という取り巻きの言葉を信じ弟を家から追い出し、弟は城南の壊れた窯に住んでいた。今日は孫大…

東洋文庫 アルパムス・バトゥル (1948)

表題作は16〜18世紀のカザフに伝わる伝承を語り手であるスルタンクル・アッコジャエフから採取しテキスト化したものである。カザフの伝承はすでに多くの研究者により採録され出版されている。 コングラトという国にバイボルという裕福な男がいた。バイボルは…

東洋文庫 世説新語 1 (450年頃)

中国六朝時代(呉・東晋・宋・斉・梁・陳)の宋の時に劉義慶が編纂した著名人の逸話集である。全5巻のうち巻1には徳行、言語、政事の3つの項目が収録されている。訳文を少し紹介しておく。 言語第二(70) 王羲之は謝安と一緒に治城に登った。謝安はゆった…

塩野七生 ローマ人の物語 1 (1992)

紀元前753年ロムスとレムスというラテン人の兄弟がティベレ川のほとりにローマを建国したという伝説でローマの長い歴史が幕を開ける。その頃のイタリア半島は北部にエトルリア人、南部にギリシャ人がすでに都市を建設しており繁栄していた。エトルリア人は建…

東洋文庫 長生殿 玄宗楊貴妃の恋愛譚 (1688)

この長大な戯曲は洪昇の作で康熙年間に上演され好評を博した。美文調のト書き、登場人物も詩を吟じながら会話するという構成になっている。作者の詩文の力量も大したものである。訳の一部を写してみる。 玄宗 銀燭は光を回らして 綺羅を散じ 楊貴妃 御香の深…

小説カンディード 作ヴォルテール (1759)

ドイツの貴族の館に生まれ教育を受けたカンディードは「世界で起こることは神によって最善となるよう手配されている。」と信じている(楽天的最善説)。青年となったカンディードは館から追放され一文無しで町の酒場に入ると軍隊に勧誘される。逃亡し懲罰を…

立花隆選の100冊(2008)

旧制高等学校3年(〜1950)、教養課程1年または2年(〜1980年代)、暗黒時代(1991〜)、放送大学(1983〜) これが日本におけるリベラルアーツの歴史で現在は暗黒時代になっている。文部省とそれに踊らされた大学人の責任である。唯一の希望は学費が安く正…

東洋文庫 子不語1 袁枚 (1788頃)

清朝乾隆帝期の文人で詩人の袁枚の著書で全二四巻、767話ある。表題は論語の子不語 怪力乱神に因んでいる。要するに孔子が論じようとしなかった怪異現象の分野における説話集である。袁枚の人となりは序にこう述べてあることから推し量ることができる。 余は…

2018若い人に贈る読書のすすめ 掲載図書一覧

1)前野ウルド浩太郎 バッタを倒しにアフリカへ 2)西原理恵子 女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと 3)辻村深月 かがみの孤城 4)山中伸弥、羽生善治、是枝裕和、山極壽一、永田和宏 僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう 5)住野よる か「…

東洋文庫 江南春 青木正児 (1922)

表題作は京都帝大文科出身の著書が大正12年の仙台赴任中に記した中国旅行記である。まず冒頭で杭州の西湖を訪れた時の印象を綴っている。一人でやってきて西洋風の精華旅館に滞在し喧騒の中散策し水と柳を賞でる。京都、奈良とは違う若やいだ和らかさがある…

東洋文庫 北伐の途上で他 郭沫若自伝4 (1936)

「北伐の途上で」は1926年の北伐軍による武昌攻略の経緯を政治部NO.2の郭沫若ができるだけ正確に書き残したという回想録である。8月24日長沙に駐屯中に急遽命令により北へ出発することになる。筆者も秘書の李徳謨(リートーモー)と共に列車に乗り込み二時間…

東洋文庫 海游録 申維翰(1719)

徳川幕府八代将軍徳川吉宗の襲位を賀していわゆる朝鮮通信使一行475名が訪日する。その時の製述官が申維翰である。日記形式の記録で漢文で書かれている。 一行はソウルを1719年4月11日に出発し13日釜山に到着する。5月18日出航、南風に阻まれて絶影島に停泊…

苦海浄土全三部(2016)

昨年は石牟礼道子の苦海浄土全三部を図書館で見かけて借り出し読んでみた。有明海で暮らす漁師達ののどかで活力に溢れ幸せだった頃の描写が純文学として成立するレベルである事に驚いた。いやちょっと現実はそこそこ厳しいものがありそこまで天国かなという…