河出書房新社 太平記 山崎正和訳(1370ごろ)

東洋文庫に倣って太平記の現代語訳を読んで見た。東洋文庫3巻分の分量がある。 巻の十一 (前略) 承久からこのかた、北条氏が政権を執って九代、年月はすでに百六十余年に及び、一門は世に栄えて、勢い盛んなあちこちの探題や守護となり、その名を挙げて天…

東洋文庫 七王妃物語 ニザーミー(1200)

著者のニザーミー(1140〜1203諸説あり)はガンジャ(今のキロヴァバード、カスピ海の西)出身で生涯をそこで過ごした。「四つの講話」を書いたサマルカンド出身のニザーミーとは別人である。三人の妻と一人の息子がいる。ニザーミーはあらゆる学問に通じ膨…

東洋文庫 朝鮮小説史 (1939)

著者の金台俊は京城帝国大学朝鮮語学科を卒業、後に地下活動に参加し延安に脱出した。朝鮮独立後は反米闘争を行い李承晩政権によって処刑されている。 上古時代においては文学と言えるものは存在しない。三国時代に書かれたとされる金大問「鶏林雑編」、「花…

東洋文庫 ハーフィズ詩集 (14世紀)

ペルシャ文学における最高の詩人は民族英雄叙事詩ではフィルドスウィー、四行詩ではオマル・ハイヤーム、頌詩ではアンヴァリー、ロマンス叙事詩ではニザーミー、神秘主義詩はルーミー、実践道徳詩はサアーディー、抒情詩はハーフィズと言われている。今回紹…

東洋文庫 則天武后 郭沫若 (1962)

郭沫若の書いた全4幕ものの史劇である。通説とは真逆を行くもののようである。以下概要を記す。 すでに権力を手にしていた則天武后は病弱な夫である高宗と第二子である太子賢と洛陽の宮殿に住んでいた。門閥を排し人材を登用し民衆の声を聞く政治を行ってい…

りんごの木の下であなたを産もうと決めた 重信房子 (2001)

1971年3月1日家族を捨てベイルートに到着した著者は、緊迫した中東の情勢を肌で感じていた。前年のPFLP(パレスチナ解放人民戦線)による革命飛行場作戦、それに対するヨルダン政府による弾圧(ブラックセプテンバー)が起こり、国王親衛隊による右手狩りも…

東洋文庫 ペルシア逸話集 (11、12世紀)

本書はペルシア逸話集と題されているが「カーブースの書」と「四つの講話」からなっている。 カーブースの書 これはカスピ海南岸地域に成立したズィーヤール朝(927〜1090頃)第7代王カイ・カーウースが息子ギーラーン・シャーのために著わした教訓の書であ…

東洋文庫 鸚鵡七十話 印度風流譚 (7〜12世紀)

ハラダッタの息子マダナセーラとクヌダーコーシャの美しい娘プラヴァーヴァーティーが夫婦になり愛欲の限りを尽くしていた。周りが見兼ねて忠告するとマダナセーラは商売をするため旅立つことにした。残されたプラヴァーヴァーティーの悲しみを癒すように鸚…

東洋文庫 パンソリ 申在孝 (1870年ごろ)

本書は民衆の芸能であるパンソリを 申在孝が脚色、筆録したものの日本語訳である。四つの演目が収録されているが冒頭にある「春香歌」の内容はこんなものである。 湖南左道の南原府に妓生の娘として生を受けた春香は絶世の美女であった。府使の令息である若…

東洋文庫 薔薇園 サアディー 著 (1258)

この書はシラーズ出身の天才詩人サアディーが書いた散文と詩による道徳の教えである。読んで行くと商売上手なアラブ人の事を敵視しているのが窺える。 第3章 物語15 私はある砂漠のアラブ人がバスラの宝石商らの仲間に加わり、こう語っているのを見た。「砂…

石原家の人々 石原良純著 (2001)

石原家次男の著者による回想的ルポルタージュである。家長たる石原慎太郎と妻典子、4人の子供達が逗子の入り江を見下ろす豪邸で繰り広げる緊張した生活と成城に住む叔父裕次郎との交流を中心に描かれている。著者は次男の立場で物を見たり経験したりしており…

世界史を知るには

東洋文庫を全部読むことが近道である。 毎週一冊を無理矢理に読んで梗概を書くことにしている。一年で50、十年で500である。

東洋文庫 法顕伝(4世紀)・宋雲行紀(6世紀)

東晋時代の僧である法顕は399年慧景、道整、彗応、慧嵬らとともに長安を旅立った。天竺に律蔵を求める旅である。隴山を越え、乾帰国で夏坐(3ヶ月の坐禅)しさらに進み張掖鎮に至る。そこでも夏坐し敦煌に至る。ここには大きな防御設備(辺塞)がある。一と…

東洋文庫 日本霊異記 (800年ごろ)

平城京の薬師寺僧侶、景戒の記した説話集で話には奈良時代以前及び奈良時代の人物が登場する。雄略天皇と雷(いかづち)の有名な話「雷を捕らえた栖軽の墓」が上巻第一に出てくる。上巻第四には聖徳太子の有名な逸話が出てくる。上巻第二十八には役小角(え…

東洋文庫 木葉衣 他 行智 (1800年ごろ)

これは修験道の教本であり、著者の行智は修験道の開祖である役小角(えんのおづぬ)について『続日本紀』『扶桑略記』『日本霊異記』を引用して述べている。なかなかの博識と言えるだろう。修験道は葛城山の山道の往還から始まった。『古事記』『日本記』『…

東洋文庫 羅生門の鬼 島津久基 (1929)

本書は島津久基博士による民話・伝説の論考集で昭和4年に新潮社から出版されたものである。標題の羅生門の鬼には力が入っていて特に詳しく述べられているがさらっと書かれたものもある。 トッカッピ 何とか薬の宣伝なぞと早合点してはいけない。トッカッピと…

好きなことだけして生きていく

参ったなあ。この手の本はこんなにある。 好きなことだけして生きていけ 千田 琢哉(2013) 「好きなこと」だけして生きていく。 心屋 仁之助(2014) 好きなことだけして生きる PHP研究所(2015) 好きなことだけで生きる~フランス人の後悔しない年齢の重ね方 …

東洋文庫 水滸後伝 陳忱 (1664)

水滸伝の結末は108人のうち生き残ったのが36人、首領の宋江も毒殺されるという陰惨なものだったがこの水滸後伝はその続編である。まず阮小七が登場し漁師として暮らしを立てていたがある日役人の張通判にいちゃもんをつけられる。が、そこは怪力無双の阮小七…

「好きなことだけやって生きて行く」という提案 角田陽一郎著 (2017)

生放送なら歴史の真実を垣間見れると思い平昌オリンピック、ワールドカップ、24時間テレビを録画しつつ検証している。ああこうなのかと思うことが結構写りこんでいるものだ。録画放送では大抵編集されている。今回日テレの24時間テレビで興味深い発言を放送…

東洋文庫 ベニョフスキー航海記 (1790)

ベニョフスキーは1746年に西スロヴァキアにあるヴェノヴォという村で生まれたハンガリー人である。1768年ロシアとポーランドの間に戦争がおこるとベニョフスキーはポーランド側に付き敗北する。1769年ロシア軍に捕らえられたベニョフスキーはカザンに送られ…

わたくしが旅から学んだ事 兼高かおる (2010)

「兼高かおる世界の旅」はTBS系列で31年間続いた長寿番組で著者はその看板となる中心人物である。31年間世界を見て回っただけあって考えの行き着くところが明快である。本書には著者の受けた教育、仕事の流儀、人生と仕事について書かれている。 著者は日本…

東洋文庫 南嶋探検記 1 琉球漫遊記 笹森儀助 (1893)

青森県弘前士族の笹森儀助が弘前を立ったのが明治26年5月10日で青森から汽車に乗り東京に着いたのが5月12日である。東京滞在中は諸先輩に琉球に関する知識について教えを請い、新橋を立ったのが5月24日である。神戸にて陸奥丸に乗船し鹿児島に至る。そこでは…

東洋文庫 清嘉録 蘇州年中行事記 顧禄 (1830)

本書は清代蘇州の歳時風俗を記した書である。わざわざ清嘉録と銘打ってあるのは著者のこだわりで、当地である呉の風流を愛する心の表れである。 正月 行春(春牛の巡行) 仕来りとして、立春の一日前に、郡守が僚属を率いて婁門外の柳泉堂に春を迎える。供回…

東洋文庫 長安城中の少年 清末封建家庭に生まれて 王独清 (1933)

著者の王独清は1898年陰暦8月16日長安で生まれる。父は官僚の一族であったが一度も仕官したことがなくて第三夫人までいる。独清は第二夫人の子でただ一人の男の子であるから大事にされたが第二夫人の楊は召使い同然の扱いを受け、時には第一夫人から棒で打た…

列島ぐるりヨットの旅 笹岡耕平著 (1995)

招福は36フィートのスループ&カッターリグで設計者は林賢之輔、船体はFRP製でヤンマー3GMー30エンジンとキャビンを有しさらにウィンドウベーン(エアリス)GPS(コーデン)を装備している。これで世界一周や日本一周をするのである。実にロマンを感じる所為…

東洋文庫 捜神記 (4世紀)

東晋の干宝が著した志怪小説集。20巻が現存する。東洋文庫には全20巻464話が口語和文で収録されている。どんな内容なのかいくつか抜き出してみる。 第1巻17 ふしぎな鴨 漢の明帝のころ、河東(山西省)出身の尚書郎王喬が鄴県の知事となった。この人は神術…

東洋文庫 風土記 (8世紀)

後半にある風土記逸文からいくつかの文を抜粋する。 飛騨国 風土記にいう、この国はもと美濃のうちであった。昔、近江大津に王宮を造った時、この郡から良い木材が沢山出て、馬の駄に背負わせて来たが、その速さはまるで飛ぶようであった。それで改めて飛騨…

東洋文庫 中国講談選 立間祥介 編訳

中国の講談は日本と呼び方が異なり「説書」と言う。明末〜清初期に活躍した南京の柳敬亭は水滸伝を得意とし予約制で一回一両を取っていた。彼の演じる様子は張岱の陶庵夢憶(岩波文庫)に記されている。本書では6編がわかりやすい口語体で翻訳されている。 …

東洋文庫 唐代伝奇集 1 (7〜9世紀)

1 古鏡の話 王度 今の山西省の人で候生という人が亡くなる時に私に託したのがこの古鏡で中央に麒麟、東西南北に亀、竜、鳳、虎が鋳出してありその外側には十二支の動物が配置されている。その周囲には二十四気の象形文字が隷書で配置され日を映すと壁にこれ…

鳥瞰イラストでよみがえる歴史の舞台

この本を購入したのが6月中旬で毎日一話ずつ風呂上がりに居間で読んでいる。真田郷まで読んだ。精細な綴じ込み絵図が大変素晴らしい。一日一話というのは贅沢な読書だと思う。