東洋文庫 清嘉録 蘇州年中行事記 顧禄 (1830)

本書は清代蘇州の歳時風俗を記した書である。わざわざ清嘉録と銘打ってあるのは著者のこだわりで、当地である呉の風流を愛する心の表れである。 正月 行春(春牛の巡行) 仕来りとして、立春の一日前に、郡守が僚属を率いて婁門外の柳泉堂に春を迎える。供回…

東洋文庫 長安城中の少年 清末封建家庭に生まれて 王独清 (1933)

著者の王独清は1898年陰暦8月16日長安で生まれる。父は官僚の一族であったが一度も仕官したことがなくて第三夫人までいる。独清は第二夫人の子でただ一人の男の子であるから大事にされたが第二夫人の楊は召使い同然の扱いを受け、時には第一夫人から棒で打た…

列島ぐるりヨットの旅 笹岡耕平著 (1995)

招福は36フィートのスループ&カッターリグで設計者は林賢之輔、船体はFRP製でヤンマー3GMー30エンジンとキャビンを有しさらにウィンドウベーン(エアリス)GPS(コーデン)を装備している。これで世界一周や日本一周をするのである。実にロマンを感じる所為…

東洋文庫 捜神記 (4世紀)

東晋の干宝が著した志怪小説集。20巻が現存する。東洋文庫には全20巻464話が口語和文で収録されている。どんな内容なのかいくつか抜き出してみる。 第1巻17 ふしぎな鴨 漢の明帝のころ、河東(山西省)出身の尚書郎王喬が鄴県の知事となった。この人は神術…

東洋文庫 風土記 (8世紀)

後半にある風土記逸文からいくつかの文を抜粋する。 飛騨国 風土記にいう、この国はもと美濃のうちであった。昔、近江大津に王宮を造った時、この郡から良い木材が沢山出て、馬の駄に背負わせて来たが、その速さはまるで飛ぶようであった。それで改めて飛騨…

東洋文庫 中国講談選 立間祥介 編訳

中国の講談は日本と呼び方が異なり「説書」と言う。明末〜清初期に活躍した南京の柳敬亭は水滸伝を得意とし予約制で一回一両を取っていた。彼の演じる様子は張岱の陶庵夢憶(岩波文庫)に記されている。本書では6編がわかりやすい口語体で翻訳されている。 …

東洋文庫 唐代伝奇集 1 (7〜9世紀)

1 古鏡の話 王度 今の山西省の人で候生という人が亡くなる時に私に託したのがこの古鏡で中央に麒麟、東西南北に亀、竜、鳳、虎が鋳出してありその外側には十二支の動物が配置されている。その周囲には二十四気の象形文字が隷書で配置され日を映すと壁にこれ…

鳥瞰イラストでよみがえる歴史の舞台

この本を購入したのが6月中旬で毎日一話ずつ風呂上がりに居間で読んでいる。真田郷まで読んだ。精細な綴じ込み絵図が大変素晴らしい。一日一話というのは贅沢な読書だと思う。

東洋文庫 王書(シャー・ナーメ) フィルドゥスィー著 (1010)

本書はペルシャの長編叙事詩でサーマン朝(873ー999)の時代に書き始められガズニ朝 (955ー1187)の時代に完成した。そのため著者のフィルドゥスィーが国王に献上した時に一悶着があった。ここに訳出されているのはその膨大な量の叙事詩の6巻分である。 ザ…

東洋文庫 漢書五行志 班固 (1世紀)

後漢の時代に成立した漢書の10志の内の一つである。五行とは自然を構成する要素である「木」、「火」、「土 」、「金」、「水」であり、五行説によると災害や怪異の現象は、人間の悪徳や悪行が五行のバランスを乱し、世界の秩序を混乱させる為に発生すると考…

アレクサンドロス大王東征記 アッリアノス著 (紀元2世紀)(3)

第5巻のまとめ アレクサンドロス大王の軍勢はカブール川を渡りインダス川の手前のニュサの町に入った。この町は今のカフィリスタンだという説がある。確かにここに住むカラーシャ族は今も独自の神を信仰しギリシャ的風貌を持っている。さて町に入るとアクピ…

アレクサンドロス大王東征記 アッリアノス著 (紀元2世紀)(2)

第4巻のまとめ アレクサンドロスはタナイス川(シルダリヤ)のほとりに町を建設し、これを自分の名前を持つ町にしたい、という考えをいだいた。これは今のホジェンドというのが定説である。フェルガナ盆地の入り口に位置する。ちょうどその頃川の周囲に住む…

アレクサンドロス大王東征記 アッリアノス著 (紀元2世紀)(1)

この本を読まないわけにはいかない。一番面白いところを抽出する。 第3巻のまとめ まだカブール側に居たアレクサンドロスの軍勢はベッソス追撃の為ヒンドゥクシ山脈を越えバクトラを目指す。その途中町を建設してアレクサンドリアと命名した(おそらくバグ…

東洋文庫 小梅日記 1 (1849〜1885)

和歌山藩の藩校である学習館の教師で下級武士の川合梅所の許に16歳で嫁いだ川合小梅(1804〜1889)は女房として藩校を切り盛りする傍ら日本画を描き膨大な日記を残した。30歳で長男雄輔を産んでいる。 東洋文庫には嘉永二年(1849)元日からの日記が収載され…

新訳 世界史資料・名言集 山川書店(1975)

今回購入したのは1版38刷(2006)となっている。古代から現代までの歴史史料や著書から抜粋したものを並べている。史料の原文の日本語訳に直接当たる体験ができて大層便利な物である。東洋文庫を片っ端から読んで行くのと割と近いものがあるのだが少々気にな…

シルクロード文明誌図鑑 ジャン・ピエール・ドレージュ著

本書はナショナルジオグラフィックに出て来るような雄大な写真と短い文章、マルコ・ポーロや玄奘からの引用文からなる大型本である。文章から思い描いていた土地の風景を映像化する助けになってくれる本である。それとNHKのシルクロード、シルクロード第2部…

東洋文庫 トルキスタン文化史 1 V.V.バルトリド (1927)

本書はソビエト科学アカデミー創立200周年を記念して企画されたロシア領トルキスタンの総合解説書のモノグラフの一つとして書かれたものを大幅に改定してできたものである。第一章 前イスラーム期から一部抜粋する。 われわれの知る中央アジア最古の文化的な…

東洋文庫 大旅行記4 イブン・バットゥータ (1355)

カスピ海北岸の町サラーから10日間の旅を続けてサラージュークの町に着く。この町で弱った馬を売りラクダを買う。アラバを引かせるのである。この先は牧草の少ない荒地なので30日間昼夜22時間走り続ける。著者らもドゥーキーを煮立てた粥に干し肉と乳をかけ…

東洋文庫 大旅行記2 イブン・バットゥータ (1355)

1326年9月1日ヒジャーズ巡礼キャラバン隊がダマスカスを出発しキスワという村に停泊する。著者はこのキャラバン隊と同行する。キャラバン隊長はサイフ・ウッディーン・アルジューバーンで法官はシャラフ・ウッディーン・アルアズルーイである。次にサナマイ…

東洋文庫 後は昔の記 林董回顧録 (1911)

林董は1850年佐倉に生まれる。漢学を修め12歳の時幕府御典医林洞海の養子となる。ヘボン夫人の英学塾に入門し幕府派遣英国留学生となる。開陽丸の乗組員になり榎本武揚の教えを受けるが反乱軍として捕られ弘前藩に禁錮となる。その後は外務省書記官となり岩…

東洋文庫 ヴォルガ・ブルガール旅行記 イブン・ファドラーン著 (923)

アッバース朝のカリフ、ムクタディル・ビッラーの命によりバクダッドからヴォルガ・ブルガール王国へ使節団が派遣される。本書はその時随行した著者による報告書である。 西暦921年6月21日バクダッド出発。ホラーサーン門を出てホラーサーン街道を東に進む。…

ウィリアム・アリスター著 キャンプ (1989)

通信兵として訓練キャンプにいた 著者は極秘任務に応募して合格する。だが派遣された先は大英帝国の東の端、香港だった。ネイザンロードを誇らしげ に行軍したのはいいが三週間もすると太平洋戦争が始まり日本軍の進攻を受ける。部隊はあっという間に壊滅し…

東洋文庫 パンジャーブ生活文化史 (1859)

著者のヌール・アフマド・チシュティーは祖父の代からラーホールに住む貴族の家系に生まれた文筆家である。この書はパンジャーブ地方の習俗、風習について書いたもので、イギリス人官僚に現地語を教えていた著者が彼らの学習のために便宜を図ったもののよう…

東洋文庫 魏晋南北朝通史 内編 (1932)岡崎文夫著

宦官による政治腐敗が進み後漢が黄巾の乱によって滅亡して行くところから始まって楊堅が陳を征伐するまでを詳述する。陳寿の「三国志」、李延寿の「北史」「南史」、司馬光の「資治通鑑」、銭大昕の「二十二史考異」、王鳴盛の「十七史商榷(しょうかく)」…

東洋文庫 詰むや詰まざるや

本書に収録されている将棋無双(1734)と将棋図巧(1755)はそれぞれ伊藤宗看、伊藤看寿が将軍に献上した詰将棋集で二人は兄弟である。宗看は 7世名人として33年間在位した。100問づつ計200問ある。 無双第1番は実戦タイプの11手詰めである。 図巧第90番は…

東洋文庫 陳独秀文集1 (1904〜1921)

陳独秀は安徽省の生まれ、中国共産党の設立者で初代NO.1であるが後に除名され四川省に隠遁し63歳で死去した。本書は雑誌に掲載された政治論集及び漢詩などからなる。 「安徽俗話報」創刊の理由(1904年3月31日掲載) 要するに安徽省には新聞が無い→学校で学…

東洋文庫 ペルシア民俗誌

コルスムばあさん(A・J・ハーンサーリ著)と不思議の国(サーデク・ヘダーヤト著)の合本である。成立年代は前者が17世紀後半、後者が1933年となっている。A・J・ハーンサーリはイスファハン在住の法学者、ヘダーヤトはテヘラン在住の作家である。 コルスム…

東洋文庫 晩清小説史 (1937)

この書は阿英(1900ー1977)による文芸評論で晩清期(1840ー1912)の主な小説の紹介、時代背景の解説、小説論からなる。 李伯元(李宝嘉)(1867ー1906)の作品では「官場現形記」が有名であるが本書では「文明小史」を紹介している。湖南の永順事件について…

東洋文庫 元曲五種 (14世紀頃)

楊氏の女 狗を殺し夫を勧(いさ)むる雑劇 南京の裏通りに代々住む孫大というお金持ちがいた。妻は楊氏と云い弟は孫二と云った。ところがこの兄は柳隆卿、胡子転という取り巻きの言葉を信じ弟を家から追い出し、弟は城南の壊れた窯に住んでいた。今日は孫大…

東洋文庫 アルパムス・バトゥル (1948)

表題作は16〜18世紀のカザフに伝わる伝承を語り手であるスルタンクル・アッコジャエフから採取しテキスト化したものである。カザフの伝承はすでに多くの研究者により採録され出版されている。 コングラトという国にバイボルという裕福な男がいた。バイボルは…