映画 シテール島への船出 (1986)

     関係が不明ながら何人か人物が登場。少年アレキサンドロス、豪邸に住む大人、少年スピロ。大人が映画監督アレキサンドロスなので少年の未来だ。アレキサンドロスの息子がスピロだ。アレキサンドロスは製作中の映画の主役のオーディションを行っている。レストランで見かけた花売りの老人が役にドンピシャと気づいた監督は老人の後をつける。声はかけなかったがここから劇中劇になる。客船から降りてきたのがこの老人でアレキサンドロスの父なのだから変なはずである。父の名がスピロというのも変だ。

   集まっていた親戚たちに挨拶し、その後妻の部屋に行ったスピロはそのまま家を出て宿屋に 泊まった。妻とはどうやら揉めたらしい。翌日一家はシトロエンに乗りかつての住居へと向かう。街からは遠い山間部にある。そこにはパルチザンの同志がいた。同志はエカテリーナ(スピロの妻)がずっと好きだったなどと告白する。痴呆症の老人も登場する。まるでコントのようだ。鍵を開け家に入ってみると居間はきちんとしており、暖炉も使える。スピロは自分の部屋に行き長押を開ける。この地域もスキー場ができることになりみんなで土地を売ることになった。ここは放牧地くらいにしか使い道が無いらしい。その契約の日スピロが帰ってきて一人だけ契約を拒んだ。村長は怒り狂う。

  夜ランプの下晩餐をしていると村人がやってきてエカテリーナに契約せよという。無言の父に娘も言いたいことを言う。村人はスピロお前はこの国では死人だという。軍事法廷で死刑の判決を4回も受けたのだという。その夜スピロは向こうに妻子がいることを告白する。

 翌日アレキサンドロスたちはスピロを残して下山する。村人たちも下山した。スピロは牧草地を見に行く。見張り小屋が炎上していた。翌日行方不明になったスピロを警察が探すがスピロは古い自宅に籠っていた。エカテリーナが呼びかけるとしぶしぶ出てきてみんなと下山するかと思ったらエカテリーナと山に残った。その際アレキサンドロスは警察に辛辣な言葉を言われる。彼は無国籍で滞在許可を取り消される可能性があるらしい。

   一方アレキサンドロスの私生活では愛人の女優との関係がギクシャクし心は暗く沈んでいる。アレキサンドロスは事務所で台本を確認する。ここは劇中劇の外なのか。

     スピロ夫婦は町へ降りてくる。ロシア行きの船に乗るためだが船はもう出航していた。アレキサンドロスは船着き場に駆けつける。汽笛の音の中でスピロは独白する。トランクの上にバイオリンが置いてある。若い頃はバイオリンを弾くいい男だったのだろう。今では嫌われ者の老人である。すでに国外追放命令が出ていた。警察が登場。スピロを連行してゆく。警察は次の港でスピロを船に乗せようとする。タグボートで接近するが英語でのやり取りの後ロシア船長に乗船を拒否される。港湾警察も知恵がないなと思う。ここは旧港で労働者の祭りが夕方から始まるようだ。倒れて運ばれたエカテリーナは夫とのなれ初めを喋り出す。スピロはイオニア難民だったようだ。スピロは台船に乗せられて雨の中海を漂う。アレキサンドロスは責任者に抗議するがそのまま放置される。労働者が集まってきて港湾の食堂はだんだん賑やかになる。野外ステージにバンドが出て騒ぎを知っているのかエカテリーナに壇上で一言ってもらう。一緒に行きたいと一言言う。警察はどうぞと言う。エカテリーナはタグボートで夫の元に連れて行かれる。台船の上で一夜を過ごした夫婦だが、雨は止んで夜明けが来る。ブイに繋がれたロープをスピロが解き二人は沖へと漂ってゆく。イオニア難民がイオニアに戻ってゆくのか。ここは1回目に見た時は気付かなかった。だぶん自殺ではないのだ。