映画 太陽に恋して (2000)

   陽炎立つブルガリアの平原の道路を遠くから一台の車がやってくる。丸刈りの男が車から降り(ベンツの古いEクラス)トランクの中の死体を見る。突然現れたヒッチハイカーを乗せトルコへ向かう。ヒッチハイカー(主人公ダニエル)はハンブルグ在住の物理の教師の卵で授業風景が出てくるが誰も聴いてはいない。帰途ユーリという露天商の女が太陽の指輪をダニエルに買わせてパーティ券を渡す。冴えない感じの男だがユーリは惚れているらしい。パーティーに行くと向こうから太陽の図柄のTシャツを着た女が歩いてきた。ハンブルグの夜の海岸でデートする。このメレクという女がイスタンブールに帰ったのがきっかけでダニエルとユーリが国境を越えイスタンブールまで旅をするというロードムービーだ。冒頭の少々怖い展開は旅の途中の出来事だ。
 
     陸路は相当危険がある。一番安全確実なのはイタリアに出てフェリーでイスタンブールに行くことだ。今回はお金が無いのでできなかった。陸路の最短距離だとウィーン→ブダペストベオグラード→ソフィア→イスタンブールだがユーゴ内戦のためルーマニア経由となる。このため川を超えることになり物理の先生らしく角度と初速度の計算をして車でジャンプしたが失敗する。二人で困難を乗り越えると恋愛感情が生まれるという法則があるがこの場合は大げんかまでいっているので破局でもおかしくはなかった。途中のヨーロッパの田舎の風景がおもしろい。終着点のイスタンブールにはかつての超大国の首都の雰囲気がいまでも感じられた。なおトランクの死体には犯罪性は無くトルコ当局が拍手するという結末になっている。