映画 東京タワー (2005)

    作者は江國香織であるが瀬戸内寂聴渡辺淳一の後を継ぐ不倫文学の大家の風格がある。自由な東京ライフを満喫する二人の大学生が人妻と不倫する話だ。主人公の二人はそれほどエリートではなさそうだがクズという訳でもなく物凄いイケメンである。若い恋人には不自由していない。お相手はセレブ夫人、中流夫人で共に子はいない。夫婦仲は微妙な感じで一度足を踏み入れれば若い男の肉体に溺れるという仕組みだ。結局おきまりのコースをたどり片方は夫婦破綻、もう片方は元鞘に収まる。不倫といっても子がいない事、金銭の授受がない事が最低限のルールであると劇中の人物が言っている。これは作者の持論なのだろう。後半に入ると男女のミスマッチが露わになってくる。やはり男は(生活力のない)愛だけの男、女は(実質を取らない)建前だけの女という最悪パターンだ。ドラマチックにはなるが安定する組み合わせではないのである。