NHK BS チェチェン 混迷の11年 〜紛争とテロの背景〜(2005)

    BBCにより製作された映像とインタビューからなるこのドキュメンタリーは真実のかなりの部分を写し取っているように思える。発端は1991年にチェチェン共和国が独立を宣言したことによる。エリツィン大統領は1994年にチェチェンに侵攻するが市街戦で戦車部隊は完膚なきまで破壊され一個旅団が壊滅した。これに対しロシア軍はスターリングラード戦並の猛攻撃を加えるとチェチェン武装勢力はゲリラ戦の後テロに転じ1995年ロシアの病院を占拠し多数の犠牲者を出す。さらにグロズヌイ奇襲攻撃が成功しロシア軍守備隊は壊滅、和平交渉が成立する。しかしロシア軍撤退後のグロズヌイでは治安が悪化し誘拐事件が多発する。イスラム過激派のワッハーブ派が台頭しイスラム裁判を行うようになる。ロシアではエリツィンの後継者としてプーチンが登場する。この辺りから何故か陰謀めいてくるのだがイスラム過激派の動きが急に活発化する。1999年プーチンは和平協定を破棄し前回の3倍の兵力でチェチェン侵攻を行う。グロズヌイは徹底的に破壊され人口の半分が死亡かまたは難民となる。プーチンはカディロフ暫定政権を立てて民主化を進めようとするが2004年にカディロフが暗殺され計画は頓挫する。その後もイスラム過激派によるテロは収束していないというのが現状である。  

   2002年のモスクワ劇場占拠、2004年のベスラン学校占拠、スターリン治下における1944年の強制移住の映像も出てきて参考になる。