BS世界のドキュメンタリー バーミヤンの少年 (2003)

    イギリス制作のドキュメンタリー。難民となった家族がバーミヤンの洞窟に住み着いて生活している。2001年にタリバンが石仏群を破壊している。父の名はアブドル、少年の名はミール、コシュデルは娘婿だ。アブドルは娘をやる交換条件に娘婿の母親を娶っている。母親は元は裕福だったという。皆んな没落したのだ。ミールはこの母親から生まれた。アブドルは体が悪いらしい。肉屋から牛の胃袋をもらってくる。栄養はあるだろうが子供は嫌がっている。元ムジャヒディンのデリヤムもここで生活をしている。いつも空腹だが歌がうまい。即興で詩を作り歌っている。タリバンに家を壊されたと嘆いている。長老のアリが昔を回顧する。多民族が仲良く豊かに暮らしていたという。それを破壊したのはソ連の侵攻だ。だがこの辺をムジャヒディンは基地にして戦って優勢になったと言う。 

   バーミヤンに冬がやってくる。凍え死にしないためあれこれ考える。薪を集めることが至上命令になる。地元の実力者であるサイードは情勢を良く理解している。パキスタンサウジアラビアが支援して作ったタリバンを民衆は最初は歓迎したが、彼らは土地と生活を奪う勢力だと後になって気づいたという。 

   石窟家族に家を与えるプロジェクトが発表される。支援物資もだんだん充実してくる。ここで注目すべきはアフガニスタンの女の気が強いことだ。コシュデルも母の剣幕にはタジタジである。タリバンが町を破壊する様子をサイードが語る。タリバンは飛行機、戦車、大砲を持っていたという。タリバンの施政時代が一番悪かったとコシュデルはいう。虐殺が行われたらしい。米国の介入により大規模戦闘は終結したという。確かにここは一見平和に見える。だが前も見たようにムジャヒディンとタリバンが盛り返してくるのだ。   

     復興住宅も建ち男には薪割りやレンガ作りの仕事が与えられ難民の表情は明るい。ミールは配膳係の仕事をしている。アブドルはそれを見てミールにはいい仕事に就いて校長になって欲しいという。母親はミールに金持ちになって欲しいと言う。ミールは大きくなったら先生になりたいと言う。さてこの一家に家は当たるのだろうか。残念ながら外れだったようだ。