岸辺のアルバム 第6回

   いよいよ二人は渋谷のホテル街に行きホテルに入る。思いを遂げたあとの則子の変わりようが凄い。声のトーンが高くなり家の中を動き回っている。謙作はいつもより不機嫌な様子で早く帰ってきたが実は財布をすられたのだと云う。則子は男とデートを重ねるが後ろめたい気持ちを理屈で押さえつけているようだ。抑圧された人生にはこういう息抜きが無ければ後悔するという珍妙な理論だ。  

   律子がお泊まりで遊ぶという。令嬢と乱痴気騒ぎをする。繁も夜遊びをしている。アルバイトの少女が誘惑する。もちろん謙作は仕事で帰らない。こういう誰もいない夜も則子は浮気のおかげで静かな心境になると言う。勝手な言い草である。 
 
   謙作と部下のOLとの仲が進展した。押しているのはOLの方である。OLが告白して泣いたのに謙作はそそくさと逃げてしまった。

   9月のある日母親が渋谷行きの電車に乗るところを繁は目撃する。とっさに尾行する事にした繁はホテルに入ってゆく母親を見てしまう。これは誤ったなと思う。子は親の所業はスルーすべきなのだ。