映画 共喰い (2013)

     主人公は17才の高校生で遠馬という。父親の光と愛人の琴子との三人暮らしである。学業の方の話は全然出てこない。出てくるのは複雑な家庭の様子と自身のセフレの事が中心である。主人公の遠馬は宿命のようなものを背負っているがそれは母親の義手、父親の性的倒錯くらいのものである。父親は性交中に相手を殴るという性癖がある。このことで母親とは離婚となった。母親は一人で魚屋を営んで生計を立てている。遠馬は時々やって来てコーラを飲んだり釣りをしているという関係である。琴子は妊娠したがやはり家を出て行くことにした。セフレの千種はある日遠馬が殴ったことで関係を断とうとしている。悶々とする遠馬は父親の外の愛人とセックスをする。これは無料では無かったようだ。

    千種がしびれを切らして会いに来たが遠馬は独特の理屈をこねて追い返す。親の血が入っているからという。父親の方は息子に同じ性癖が現れて喜んでいるようだ。約束の日千種が社で待っていたが光が通りがかって犯す。本物の殴り方を千種に教えた事になる。遠馬が駆けつけた時千種は腰が抜けて動けなかったが半狂乱と言うでもなく落ち着いたそぶりを見せる。この事情を知った母親は包丁を持って光を殺りに行く。腹に包丁を突き立てられ光は川に倒れこむが死んではいなかったようだ。この一部始終を遠馬は見ていた。いやーに女の方が度胸が据わっているではないか。

   刑事が現れて母親を連行して行った。主のいなくなった魚屋を遠馬は一人で運営する気なのか。そうではなさそうである。母親はサバサバしたような面持ちで面会室で息子と話す。息子は今度は琴子のアパートへ行って琴子と寝るのである。

   魚屋は千種が入って働いていた。女が全て決めて思い通りに事を運んでいる。最後は殴られずに性交する方法を千種が考え出した。

   遠馬は友達がいないのだろうか。この年頃でやるべき事は学業と友人付き合いなのは先進国だろうが後進国だろうがそうに決まっている。遠馬の住環境も悪すぎる。母親と暮らせば変なものを見ずにすんだと思う。親の悪行はスルーで良いのである。