映画 エリ・エリ・レマ・サバクタニ (2006)

   砂丘のようなところを防毒マスクをした男らが行く。モンゴルのゲルのような住居には病死した住人と生活の痕が残されていた。男らは検分したのちホースを持って帰る。林を抜けて学校のような建物に入る。奇妙な効果音が出る楽器を作り出す。 電気は来ているようだ。ホースと扇風機とスライダックで作った楽器の音を録音機材でレコーディングする。この二人はミュージシャンだ。

   主人公たちはペンションに戻りラジオを聴いている。日本とアメリカでレミング病が流行し人が大量に自殺しているらしい。ところがこの二人のコンサートに来た人はレミング病で死ななかったという。探偵に連れられて富豪とその孫娘が病気を治して欲しいとやってくる。だがミュージシャンは関係無いと拒否する。

     彼女をレミング病で失ったミュージシャンの一人が自殺する。相棒が砂浜で死体を荼毘に付す。ここでもマニアの相棒は焼ける音を録音する。これが病気の自殺か本物の自殺かはわからないと言う。富豪がもう一度頼むと今度はOKする。

   翌日指定された場所に行ってみるとミュージシャンが草原で演奏していたがすぐ止めて寝っ転がる。すると今度は孫娘に目隠しをして演奏を始める。何曲か演奏しただろうか。孫娘が失神する。ミュージシャンはなおも演奏を続けギターソロになって行き静かに終了した。富豪が孫娘に駆け寄ると孫娘は目覚め家族の自殺の事を回想する。治ったのかどうなのか。  

     翌朝ペンションで目覚める孫娘。祖父と探偵は早くに帰って行ったという。孫娘はペンションの女主人の作ったスープを飲んで美味しいと言う。車に乗り楽しそうに帰って行く探偵と富豪だが突然探偵が自殺した。最後に孫娘と女主人が死んだミュージシャンの墓参りをして終わる。

    EUREKAが正義感の希薄な世界を描いた映画とするとこれは死の重みの希薄な世界を描いたものだろう。いろいろと道具立てはそれらしく設えてはあるが。