内藤正典 トルコのものさし日本のものさし (1993)

   著者は東大教養学部の科学哲学に進んだ人で今は中東の研究者として有名になっている。この本は研究者としてアンカラに住みトルコ人と実際に付き合った経験から書かれている。読んでみるとトルコ映画を観た時のトルコ人の印象とほとんど違っていないのに気づく。<親切はやけどしそうに熱い>の章では友人が仕事を放り出して著者の中古車選びを手伝ってくれたことが述べてあるが映画ONE DAY IN EUROPE で見たタクシー運転手にもそんな印象があった。<子どもはたからもの>の章では赤ん坊を見た時の手放しで可愛がる様子が述べられているが映画 少女ヘジャルにでてくる大人たちの態度も普通の行動だったんだなと納得できるようになった。

    トルコ人の意識としてはヨーロッパは嫌い、中東は近親憎悪で嫌い、日本はニュートラルに近いという感覚であるという。政教分離移民問題についても中から見た視点で書かれていて分かりやすい。