山田太一 ドラマ 今朝の秋 (1987)

     末期ガンで入院中の50代の息子を老いた父親が蓼科から見舞いに行く。息子には娘がいるが妻とは離婚の話し合い中だ。家族を捨てて東京で小料理屋を営んでいる母親が息子を見舞いに来る。このあたり事情が複雑だがこれを機会に母親は息子の世話をするようになる。だが母親の態度から息子は自分がガンだと悟ることになる。父親が蓼科に帰ることになり息子と別れの挨拶をするが、ふと一緒に蓼科に行こうと思う。息子も承諾し二人は病院を無断で抜け出してタクシーで蓼科に向かう。 

    蓼科の実家は自然に囲まれたお屋敷で末期を迎えるには又とない場所なのが救いだ。病院は容認、母親は連れ戻すと言う。母親は店の手伝いとレンタカーで蓼科へ向かう。妻と娘もお見舞いにやって来る。家族は束の間の団欒を楽しんだ。母親は蓼科に残り秋を迎える頃息子は亡くなった。  

     とこういうストーリーだが色々と鋭いセリフが随所に出て来るドラマだった。 浮気をして病気の夫を捨てる妻、田舎に我慢できず家族を捨てて東京で暮らす母親、こういった闇の部分も描かれるが特に解決すること無くドラマは終わる。