ドラマ 阿部一族 (1995)

   徳川家光公の治世の頃、肥後藩主細川忠利が病死する。病の床で忠利が阿部弥一右衛門の殉死の願い出を却下した事が発端で悲劇が玉突きのように生成する。

    テレビ時代劇でありながら勧善懲悪の要素が無く、処遇への怒りから阿部権兵衛、阿部弥五兵衞が起こした行動が周りを巻き込んで一族全滅まで至る一部始終が描かれる。底を流れるのが儒教的主従関係でこの思想が死者数を増幅してくれる。
 
    とうとう弥五兵衞らは謀反人として討伐されるが籠城先でバリケードと飛び道具を準備し討伐隊に一矢を報いた場面は映像作品ならではのダイナミックな意外性があった。  
 
    ラストシーンと後日談がやや因果応報的になっているのが惜しい。とは言っても諸法実相を見せられてこれで終わりですと言われて納得する人は極く僅かだろうからこれでいいのかもしれない。このドラマはキャストといい美術といいほとんど映画レベルだった。