映画 荒野のストレンジャー (1973)

     西部の開拓地の鉱山の麓にラーゴという集落がある。ちょっと不穏な雰囲気があるこの町にガンマン(クリントイーストウッド)がやって来て酒と風呂を所望する。まず因縁をつけて来た不良三人組を三発の銃弾で倒す。そして上手く町の用心棒として雇ってもらう事になる。    

    実はガンマンの正体はこの町の保安官だったジム・ダンカンの幽霊か弟なのである。どちらでもつじつまは合う。ジム・ダンカンにはこれから出所してくるならずもの三人組に鞭で打ち殺され町の人に見殺しにされたという因縁がある。しかも鉱山を守るために消された疑いもある。だからガンマンは両方に復讐する名分がある。    

  ガンマンは次々と指示を出しならずものの帰還に備える。ホテルを空にしろとか赤いペンキを大量に用意しろとか町民が当惑するようなことを言う。やがてならずもの三人組が現れて酒場に集めた町民に暴虐を加える。町民が恐怖のどん底に突き落とされたその時ガンマンがならず者の一人を鞭で外に引きずり出し鞭を打ち据える。みんなはその音に釘付けになって動けない。何故なら昔のおぞましい記憶があるからである。この時鞭をふるうガンマンの背景には火が燃えていてまるで地獄のように見える。打たれた男は何が起こっているのかわからない。地獄に落ちて責められている感覚だろう。次のならず者は軒からロープで吊られ絞首刑になる。最後の男はフーアーユーと叫んで撃ち殺される。
  
  凍りつくようなユーモアがある娯楽作品だ。