映画 白い犬とワルツを (2002)

   冒頭の森の中の巨木と老夫婦のシーンは流れるクラシック風の音楽と溶け込んで格調が高い。里山の風景が出てきてここで展開するストーリーだとわかる。程なく妻が亡くなり樹医の老人に娘たちが関わってくる。面倒見の良い人たちだ。娘の一人は離婚している。葬儀が終わり四十九日を迎えるまでの間に妻の霊魂が老人の前に犬の形をして現れる。犬が見える人と見えない人がいる。つまりこれはファンタジーに分類される話のようだ。

     皆関西弁を話し知り合いだという在日朝鮮人が出てきて一定の役割を果たす。少し起伏もあるが息子の墓への分骨が済むと犬は消え去った。 

    新藤兼人監督が述べているようにやるべき仕事がある老人は子供夫婦と同居してストレスを溜めるより妻の思い出とともに一人で暮らした方がいい。何より自分の時間が確保できる。但し得体の知れない孤独という怪物が襲ってくるのは避けられないが…。この映画を見てそのように感じた。