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V.V.レヴェジェフ/Yu.B.シムチェンコ カムチャトカにトナカイを追う 〜チュクチャ族の自然と伝説 (1983)

   著者らはカムチャトカの東岸アチャイヴァヤム村を ヴェズジェホートに乗り出発する。この村の住民はチュクチャ人で三百人ほどいる。著者らの目的は広大な地域に住むチュクチャのテントを回り彼らの出自を明らかにする事にある。

 

万能走行車ヴェズジェホート

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   ヴェズジェホートは渓谷、峠道、ガレ場をどんどん進んで行く。湿地帯にはコーチカ(ツンドラ特有の小山)がいくつも散在している。ヴェズジェホートはコーチカを踏み潰しながら進んで行く。いつしか川のほとりに出た。乗員らは流木を拾い集めすぐさま火を起こし食事を開始する。黒パン、バター、干物、缶詰、紅茶である。ヴェズジェホートには不凍液が入っていないので運転手はラジエターの凍結をいつも警戒している。

   チェリガトという老人が言うにはこの土地には元々コリャーク人が住んでいて夏は魚を獲り干物にし冬は狩りをして暮らしていたと言う。そこへトナカイを連れたチュクチャが現れコリャークは恐れをなして逃げて行ったのだと言う。ヴェズジェホートはさらに進み第一のクリトバーザに到着する。同乗していたチュクチャ人は屋根に積んでいたそりに乗って夜道をさらに進んでいった。

  クリトバーザはソホーズが作った宿泊用の建物で石炭ストーブと備蓄品が置いてある。その夜はヴェズジェホートの運転手ヴァントリャンと畜産技師のアナトーリーから聞き取り調査を行った。代々受け継いだトナカイの飼育のやりかたから一族の事まで民俗学の方法論に従って記録に留めて行く。こういう作業がこの後も続いてゆく。こうして出来たのがこの本である。

   あとがきによるとチュクチャはチョコトカ半島から北カムチャトカにかけて住んでいたが一部がトナカイ苔を求めて南下し先住民だったコリャークとたびたび戦争を起こしたらしい。現在チュクチャの人口は14000人で北東シベリアの先住民としては最大のようだ。