読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

映画 ナイロビの蜂 (2005)

  ナショナルジオグラフィックに出てくるようなケニアの湖沼に一台の車が横転している。すぐさま警察がやって来て死体を回収してゆく。空には水鳥の一群が幾何学模様を描きながら旋回している。

 

  死体は外交官夫人で弁護士のテッサだった。テッサは製薬会社の悪行を調査しながらケニアの高官にも毒付くという女なので医者もろとも消されてしまったのだ。闇の巨大さを無視したかのような彼女の一直線な行動の理由は何であろうか。ラテン系で情熱的という以外はっきりとは明示されている訳ではない。調査資料をまとめ英国外務省に送った矢先にやられたのである。もちろん情報が筒抜けだったのは言うまでもない。

  現地の高等弁務官である夫のジャスティンは関わってはいなかったが所長のサンディ、外務省の上司であるペレグリン卿、製薬会社、現地警察がグルなのであるから結末は見えている。彼女を愛していたジャスティンは妨害に遭いながらも真相を知るためテッサのいとこ、情報局のエージェント、ボランティア団体の助けを得て関係者に接触する。ところがスパイ映画とは違ってカーチェイス、銃撃戦、護身術の経験ゼロのジャスティンは敵にいいようにやられる。それでも一矢報いたのはテッサの残したペレグリン卿からサンディへの書簡のお蔭だった。テッサはこの手紙を色仕掛けで手に入れている。しかもジャスティンとの結婚もこの目的のための壮大な色仕掛けだった事が示唆されている。

  温厚だったジャスティンも遂に精神に異常を来したのかわざと刺客に殺されて映画は終わる。かなり後味が悪い結末だ。卿への復讐はジャスティンの葬儀の場でテッサのいとこによって行われた。