映画 本日休診 (1952)

  井伏鱒二の同名小説の映画化。戦争で息子を失った老医師が甥と一緒に市中に病院を営んでいる。老医師はある一日病院を休診にしてゆっくり昼寝でもしようと思ったがいろんな出来事が起こる。甥の院長と看護婦達は伊豆の温泉へ行ってしまった。この日は事件絡みの診察、開院時の患者の再訪、ヤクザの来院、盲腸の手術、往診などがあった。

  老医師のスタンスは治療代は気にするな、ある時に払えば良いというものだが踏み倒して逃げる患者もいる。三國連太郎扮する統合失調症の元軍人の演技が上手すぎて可笑しい。淡島千景岸恵子と綺麗どころが登場し暗い時代設定の割に華やかさがある。色々とまずいことが起こるが結末は概ねハッピーエンドにしてある。通俗的だが通俗的過ぎずという筆致の作品だ。