読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

映画 山の音 (1954)

映画

  62歳になる主人公の信吾は老妻と息子夫婦と鎌倉で暮らしている。信吾は東京のオフィスに重役として電車で通勤している。息子の修一は同じ会社に勤めており妻は専業主婦である。このストーリーの肝は美しい嫁である菊子を信吾が愛しており息子は不倫すると言う構造にある。段々と落ち込んでゆく菊子を気遣い信吾は不倫相手に会いに行く。不倫相手はすでに修一の子を身籠っており産むという。その事を知ってか知らでか菊子は身籠った第一子を中絶する。信吾はこの事態に驚くがどうにもできず不倫相手に金を置いて帰って行く。

  菊子は里へ帰ったが出戻った娘の房子が居座っている。ある日茹で過ぎたほうれん草の事で房子は食べなかった信吾に食ってかかる。自分の料理が下手なのに言いたいだけ言うのが房子である。里に帰っていた菊子は電話で信吾を呼び出し新宿御苑で二人で会う。何でも相談に乗ろうとする信吾だが菊子は何も言おうとしない。信吾が菊子に修一と別れるつもりだろうとカマをかけると菊子は泣いてうなづく。死期を悟っていた信吾は自分は信州で暮らすつもりだと言い菊子には君は自由だと言った。

  映画ではここまでだが、まあこれはねじくれた信吾と菊子のラブストーリーと言えるだろう。美しいものの周りにまとわり付いて鑑賞するが決して手を出さないというのは川端康成の美学というか実際の習性である。