映画 ある子供 (2005)

  赤子を抱く金髪の少女ソニアが産院から帰ってきた。父親のブリュノはチンピラで住むところもお金もない。泥棒で生計を立てている。ソニアの部屋を勝手に人に貸しており今日から寝るところもないという状況である。

  夜になり二人は木賃宿へ泊まる。ブリュノは夜のうちに盗品を捌き当面の金を手にする。翌朝盗品のスポーツカーに乗り二人と赤子はドライブへ行く。二人はじゃれ合うがまあソニアもイカれていると言って良いだろう。 ブリュノは少年達に盗みをさせそれを捌く商売をしている。ヤクとか銃とかではないようだ。市の育児センターから調査員が調査に来る。行政は機能しているが治安はよろしくないというベルギーのフランス語圏の話らしい。

  翌日市役所に出生届けを出し無事受理される。ブリュノはベビーカーを押し街の中を歩く。ブリュノは子供を売ると金になるという話を思い出し電話する。養子先の相手は子供のいない金持ちなのか臓器売買のブローカーなのかブリュノの頭には考えるだけの教養は無いようだ。指示された場所に赤子を置いてくる。それを知ったソニアは失神し入院する。

  慌てたブリュノはブローカーに電話して赤子のジミーを返して貰おうとする。ブリュノが呼び出されたところはガレージのような所で受け取った大金を相手に返金する。ついでに携帯も取られる。赤子は何とか無事だった。だが明日違約金を払えと言われる。ジミーを連れて病院に帰ると警察がいた。ソニアが通報したのだ。

  ブリュノはウソ八百を並べ立て逮捕を逃れる。ソニアの実家に行き口裏合わせを頼む。ソニアはアパートに帰っていたがブリュノとは口も聞かずアパートから追い出す。携帯の無いブリュノは金を得る手段が無い。中学校へ行き仲間を呼び出しスクーターでのひったくりを実行する。ところが目撃者達が車で追跡してきた。結局中学生の少年は逮捕され彼を見捨てて逃げたブリュノは自首することになる。最後は収監中のブリュノにソニアが面会に来てコーヒー飲む?と言うシーンで幕を閉じる。

  この手の話ならブラジルでもメキシコでもどこでもあるだろうがこの話には文明の砂糖でくるまれたようなトーンがあるようだ。毒を含んでいながら安全さが有るというような。