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東洋文庫 日本巡察記 ヴァリリャーノ (1583)

  この書はイエズス会司祭のヴァリリャーノがローマの総会長に宛てた日本における布教の状況報告であり正真正銘の機密文書である。その点がフロイスの日本史と異なる。ヴァリリャーノに与えられた使命は巡察師であり映画薔薇の名前では主人公のショーン・コネリーが演じている。そう考えるとなかなか興味深い。

  報告書によるとイエズス会は日本に三教区を作り学院、修練院、神学校、修院を設置し、二百の教会、八十五人のイエズス会員、15万人のキリスト教徒を有している。第一の教区は肥前で115000人のキリスト教徒、三名のキリシタン領主がいる。第二の教区は豊後で1万人のキリスト教徒がいる。第三の教区は都で5000人のキリスト教徒がいる。これを維持し発展させて行くために採るべき方策をヴァリリャーノは縷々書き連ねている。日本人の驚嘆すべき素養と、宣教師に対して為政者が抱いている疑念、日本語の習得の難しさがキーポイントとなるようである。ヴァリリャーノは日本人司祭を育成し、都での布教を行い、布教活動からイエズス会以外の会派つまりフランシスコ会ドミニコ会を排除する事を推奨する。だがフロイスが書いているように都での布教は困難を極めたし、なにしろ戦国時代の情勢の変化が激しくとうとう秀吉による大弾圧を食らってしまったのである。