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東洋文庫 J.A.デュボア著 カーストの民 (1821)

  フランス人である著者のデュボアは外国伝道団として南インドに派遣され31年間ローマ・カトリックの伝道に従事した。フランス革命の難を逃れるという意味もあったようだ。その間調査研究したヒンドゥーの習俗と儀礼について詳細に記したのが本書である。デュボアの調査方法は独特でヒンドゥーの人々と同じ暮らしをし本や断片的記録を収集し自身の伝聞を元にして書いている。さて読んでみると論旨は明快で構成は体系的である。世界史の教科書に書いてあった事とは違っている。例えば四大カーストとは最上位のブラーフマナすなわちバラモンであり、次いでクシャトリアつまり武人であり、次いでヴァイシャつまり土地所有者及び商人であり、第四位がシュードラつまり農民及び雑役層である。それぞれのカーストはさらに多くのサブカーストに分かれ境界線が引かれており違うカーストとの婚姻が制限されている。


  シュードラは総人口の大半を占めておりあらゆる形態の手工業職や肉体労働を独占している。パッライヤはシュードラに含まれるがいわゆるアウトカーストで生まれながらの奴隷でありあらゆる階層から軽蔑を受けている。

  デュボアはインドが周辺諸国のように野蛮な状態にならなかったのはカーストのお蔭でありこれによって文明や学芸を維持できたのだと言う。もしカーストが無ければ国民はすぐさまパッライヤのような状態になり国が成立しなくなると述べている。この推察はイスラム化された今のバングラデシュ、パキスタンの状況を見れば検証できるだろう。