映画 戦場のメリークリスマス (1983)

  日本占領下インドネシアの捕虜収容所における不条理劇である。オランダ人、イギリス人、オーストラリア人が捕虜となっている。所長のヨノイ大尉(坂本龍一)は二二六事件のトラウマからある種の実存モードになっており、ハラ軍曹(ビートたけし)は俗物、日本語のできるロレンス中佐は通訳や助言者として役立っている。ロレンスは冷静に日本人軍属を分析している様に見えるが本音では日本人の事を半野蛮人と思っており支配を受けることに屈辱を感じている。

  ある日新しい捕虜セリアス少佐が連れてこられ審判を受ける。審判の結果銃殺されることになったセリアスをヨノイ大尉が助けるというのがストーリーの発端となる。セリアスは金髪の美青年で弟を見捨てたトラウマから実存モードとなっている。収容所では次々と小さなトラブルが起こる。捕虜への暴行、虐待、強制労働、自白の強要などが描かれるがヨノイ大尉はどうも空回りしているようだ。

  結局日本人をなめている俘虜長が情報提供を拒んだためヨノイ大尉に斬られそうになるがセリアスがヨノイを止める。ここで二人のセクシャルな関係が示唆される。これによりヨノイ大尉は更迭され新任の所長がセリアスを残虐な方法で処刑する事になる。

  後日談。終戦後連合国により日本人BC級戦犯が次々と処刑されてゆく。ヨノイ大尉も処刑されている。ローレンスは収監中のハラ軍曹に面会し昔話をする。かつてハラ軍曹は処刑される運命にあるローレンスをクリスマスの夜に助けたのだった。