映画 ミッシング (1982)

  クーデター時に軍が在留米人を連行して処刑したのであるから外交問題であるのだが領事館側はひた隠しにする。行方不明になったのはチャールズ・ホーマンという実在の人物でこの映画は実話である。妻エリザベスとニューヨーク在住の父親エドモンドが領事館に協力してもらいながらチャールズの行方を突き止めようとする。領事館側はあなたの息子は何らかの理由があって隠れているのだろうとエドモンドに言う。だがチャールズの友人二人は実際に逮捕されており釈放後後帰国したと言うがその内の一人は行方不明となっており何のことはない市内の死体置き場でエリザベスが死体を見つけている。


  エドモンドとエリザベスは仲が悪く感情的になり罵り合いになる。二人とも気が強いのだ。エドは財団のツテを辿り軍関係者の友人に会いチャールズについての情報を教えてもらう。それによるとチャールズは逮捕三日後に処刑されているらしい。領事館側は偽の証言者を用意してチャールズはチリ北部に隠れており生きていると言い始める。エドモンドはブチ切れて先ほどの情報をぶちまけると領事達は顔面蒼白になる。結局領事館側も開き直ったのかいろいろ嗅ぎまわった左翼かぶれのご子息の自業自得であるとエドモンドに向かって言い放ち両者は決裂する。 

  映画の構成では突如戒厳令になったサンチエゴ市街、リゾート地で軍が集結するのを目撃するチャールズ、ホテルで会った米国軍人から意味深な言葉を聞くチャールズが描かれてはいるが肝心のチャールズの逮捕の場面は出てこない。数ヶ月後に帰ってきたチャールズの遺体も痛みがひどく検屍不可能だった。おそらくエドモンドらは真実に辿り着いたと思うが何かスッキリしない所がある。エドモンドは帰国後関係者を裁判所に訴えるが訴えは棄却された。