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映画 櫂 (1985)

  高知で娼妓紹介所を営む富田岩伍(緒形拳)の妻である喜和(十朱幸代)の一代記になっている。裕福な富田家では長男竜太郎、次男健太郎に加え神戸の港で岩伍が買ってきた菊が番頭たちに囲まれすくすくと育っていた。だが竜太郎は肺病で亡くなり、健太郎は賭博場のトラブルでヤクザを殺し刑務所に入るというとんでもない状況に陥る。ヤクザに殴り込みをかけようとする岩伍を喜和が何とか宥めて破滅を免れた。

  商売の方は順調に行く。岩伍は芸妓の巴吉の売り出しに成功するが自分の妾にしてしまい綾子をもうける。この赤子をめぐって岩伍と喜和が対立する。岩伍側は巴吉と別れる代わりに綾子を家に入れると言う。喜和が育てろと言う事だがこれには喜和が猛然と反発する。結局乳母を雇う事で妥協が成立する。

  今度はヤクザ側が岩伍を襲撃する。この時岩伍は怪我で済んだが車夫が撃たれ死亡する。その知らせを聞いた喜和が子宮筋腫で倒れ手術を受ける事になる。手術は無事に終わり平穏を取り戻した富田家では綾子がすくすくと育ってゆく。綾子は菊と違って器量良しである。

  或る日岩伍は亡くなった車夫の家を訪ね焼香するのだが未亡人の照にムラムラと来て妾にしてしまう。健太郎が出所し富田家の商売を切り盛りする事になるが喜和と綾子の事を冷遇し始める。怒った喜和は綾子を連れて出て行き長屋で貧乏着らしを始めるのであるがだんだん窮地に追い込まれてゆく。結局さらに裕福になった岩伍の元へ綾子を喜和はハイヤーで送り、自分は橋の上で下車し去ってゆく所で映画は終わる。

  大正の頃の裕福な家はこんなものだと言えばそれまでだが、喜和はわりと現代風の感覚で対処して生きている。この辺が作者の狙いなのだろう。五社英雄監督の作品らしく絵には趣があり俳優陣の演技は重厚である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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