映画 影の軍隊 (1969)

  凱旋門の下を軍楽隊が通る。凱旋門の大きさに圧倒されるが音楽はなんか和声が捻じ曲がっている感じがする。腕章がよく見えないが行進しているのはドイツ軍らしい。

  1942年10月とあるのでヴィシー政権の初期でこの後レジスタンス活動が活発化してくるのである。ヴィシー政権武装解除ナチスドイツへの協力によって国内での戦闘を回避した訳だがその分パリに住んでいたユダヤ人が割りを食ったりしている。知識人の中にはビシー政権のやり方に飽き足らずレジスタンス活動に身を投ずる者がいた。主人公のジェルビエもその一人で優秀な土木技術者と紹介されている。一切説明が無いのでジェルビエがパリのゲシュタポ本部に送られる場面で死をかけて脱走する理由が何なのかすぐには分からなかった。

  マルセイユまで逃げたジェルビエは同志と合流し裏切り者を処刑したり組織の支援活動を行ったりする。極めて有能な女性活動家マチルド、兄思いの美男子フランソワ、高名な哲学者ジャルディ、哀愁が漂うフェリックスがともに活動する。ジェルビエらは潜水艦でロンドンに行きド・ゴール将軍に面会したりする。パリでのんびり研究生活をしているかのように見えたジャルディが実は組織のボスであるという仕掛けもあるが全然気づかなかった。

  ジェルビエが裏切り者のマチルドを暗殺するところで映画は終わる。登場人物のその後をエンディングで明かし史実かと思わせるがこの映画は実話では無いようだ。テーマの一つに「占領下でドイツ軍に逆らえばどんな傑物でも犬死にするよ。」というのがあると思うがゲシュタポもフランソワを見て何かそういう心配をしていたのが印象的だった。