映画 サンセット大通り (1950)

  マルホランドドライブを下って行くとサンセット大通りに出る。この映画はサンセット大通りの超豪邸に執事のマックスと二人で住む元大女優ノーマ・デズモンドのエピソードを膨らませたもので複雑な仕掛けは無い。仕掛けといえば執事のマックスがノーマの最初の夫で元映画監督だったことくらいである。

  飼っていたチンパンジーが死んでしまいノーマは葬儀屋の到着を待っていた。そこに借金取りに追われたジョー・ギリスが迷い込んでくる。ノーマはジョーを家に上げいろいろ注文をつけるがじきに気づいて出て行けと言う。だがジョーが若くてハンサムだったのと脚本の仕事をしている事を聞き、自分が映画用に書きあげていた脚本を読んで手直しするよう依頼するのが事件の発端である。

  ジョーはこれは金になると思い引き受けるのだが住み込みを強制された上、ノーマのイベントのお相手をさせられるというヒモのような立場に置かれてしまう。ノーマはジョーを高級車で連れ回し高級紳士服、アクセサリーまで買ってやる。一方ジョーは若い脚本家の卵ベティといい仲になる。夜遅く帰ってきたジョーの脚本にベティの名が書かれているのを見たノーマは二人の仲を裂こうとしてベティに電話する。ジョーも直情径行な男なのでとうとう修羅場が現出する。結局プライドが高いノーマが去ろうとするジョーを後ろからピストルで撃つ。

  最もスキャンダラスで通俗的な結末になってしまったが、これは映画ニュース隊が階段を降りてくるノーマをマックスの監督で撮るという最後のシーンのために必要だったのである。刑事らが見守る中、ノーマは天にも昇る心地でサロメを演じ映画は終わる。