映画 ディアハンター (1978)

  世界最強の軍隊があり、ビルボードヒットチャートがあり、最先端の車社会がある国で進行していたある暗い物語である。ピッツバーグ郊外の町クレアトンに住む若者達は地元の製鉄所で働きながらそれなりに楽しい生活を送っていた。マイケルとニックとスティーブンは鹿狩りを趣味とするグループである。主人公のマイケルは趣味の鹿狩りにこだわりがあり一発で仕留めないと意味がないと言う。スティーブンの結婚式と三人のベトナム戦争壮行会がある日行われその夜鹿狩りも行われる。

  これが導入部になるが時代遅れの設備の製鉄所、古き良き時代のアメ車、酒場で歌われるCan’t take my eyes off you、ロシア風教会で行われる結婚式、アジアの事を深く知らない若者達のふるまいが丁寧に描かれそこへ精神を病んだ様なグリーンベレーの男が現れる。若者達は彼に声をかけるが当然会話は成立しない。もうここまでで次のショッキングなストーリーとその結末が予想されるのである。三時間にわたる長編映画をゆっくり楽しもう。冒頭のギター曲カヴァティーナもしみじみと味わい深い。