前略おふくろ様 最終回 (1976)

  サブはかすみのサヨナラを年頃の娘によくある陽動作戦とみている。二人が別れたという噂が拡がっている。後輩の正が聞いてくるので蔵王の事を話したら驚いている。これも皆んなに広まってしまうのではないだろうか。

  女将と若女将がサブを呼び出して秀さんの動向を探る。秀さんはここ二日休みを取り大阪に行っている。正が蔵王の件を自白させられたようだ。従業員はプンプンになっている。半妻は愛妻弁当を持って来てウキウキしているようだ。サブは先輩に皮肉を言われる。もう送別会を設定されている。女将はいい話だと喜んでいる。断るつもりだったと言っても聞いてくれない。新しい店にはサブは呼ばれないようである。

  サブも本心では半分くらいは蔵王に行こうと思っていたが誰も引き留めてくれない事にショックを受けている。鳶の利夫にそれは甘いと指摘される。サブはムシャクシャしたのかパチンコを打つ。半妻と道でぶつかり喫茶店で話す。半妻はスーパーで食料品を買って帰るところである。貴方も所帯を持ちなさいよと一転浮かれた調子で話す半妻。

  秀さんが帰ってくる。サブが部屋に呼び出されるが深刻な話ではない。海ちゃんがいたと言う。今日田舎に帰るという。餞別に一万円くれる。サブが切り出すと秀さんは辞めない事にしたという。サブの想像だが秀さんが昔ヤクザだった事が関係しているのかもしれない。

  海ちゃんと喫茶店で会う。母の手紙を渡される。母はロッジの話に一時は喜んだが東京でまだ修行しろという。ロッジの話も独断で断ったという。海は父の思い出の場所の本郷を歩いて来たという。本郷三丁目から不忍池が父と母のデートコースだという。

  コツコツと働いて来たサブだがとことん落ち込んでしまった。かすみちゃんと蔵王での暮らしを想像する。現在の母とかすみちゃんを重ね合わせて嘆くのである。母の青春時代を知らない事を悲しんで歩いているとかすみちゃんがいた。使っていた香水をサブに渡して走り去っていった。これも陽動作戦なのか。第二シリーズで確かめてみたい。