映画 シノーラ (1972)

  合衆国に編入されたニューメキシコ州にはメキシコ人入植者がいて村を作って住んでいた。第二の先住民ということになる。合衆国政府はサザンパシフィック鉄道を敷設し西部の開拓を進めていた。

  メキシコとの国境に近いシノーラという田舎の町で流れ者のキッド(クリント・イーストウッド)が呑んだくれて留置場にぶち込まれていた。翌日からキッドが懲役刑として広場の掃除をしている折に、チャーマ率いるメキシコ人の武装集団がオフィスを襲撃し自分達の土地を奪った権利書類を燃やしたうえ囚人を逃してしまう。判事も拉致しようとしたがキッドが阻止する。 

  すぐ自警団が組織されチャーマを追うがキッドは無関係の立場をとる。一報を聞いた地主のハーランが用心棒を引き連れて鉄道でシノーラにやって来る。ホテルの二階をフロアごと 借り切りキッドを呼び金で雇うと言う。キッドは一旦は断るが気が変わってハーランに同行する。途中チャーマの情婦ヘレンも連れ出しメキシコ人の村を襲撃する。ハーランは山に逃げているチャーマに降りてこないと翌日から村人を一人ずつ処刑すると呼びかけ朝を待つ。キッドは用済みとなり銃を取り上げられ幽閉される。

  翌朝になり村人が一列に並べられいよいよ処刑が行われようとする時キッドが物陰から皆を銃撃し撹乱する。混乱の隙にキッドはヘレンを連れてそのまま山へ向かう。山へ着くとチャーマがいた。チャーマは村人が死んでもかまわないと言うがキッドが判事の元に出頭しろと銃で脅すとチャーマは覚悟したのかキッドの言うことに従う。

  キッドらが町に入ろうとするとハーランが待ち受けておりメキシコ人が一人狙撃される。キッドらはその場から引き上げるが停車中の列車に乗り込むと機関車を動かして町に向かう。キッドは機関車で居酒屋に突っ込みハーランの手先を始末しハーランを追い詰める。法廷に逃れたハーランをキッドは判事の椅子に座り銃で仕留めて処刑するのである。

  この作品から当時の開拓地の雰囲気は感じ取れるが結局のところ実話とは程遠い西部劇である。悪い白人を設定しメキシコ人と良い白人が手を組んで倒す構図になっている。現実を想像すると白人は皆んな悪くメキシコ人も同じくらい悪い、法は白人に有利にできている、くらいの所だろう。