TBSドラマ 復讐するは我にあり (1984)

  昭和38年にあった連続殺人事件を佐木隆三が小説化したものが「復讐するは我にあり」である。この小説は直木賞を受賞するが1978年に映画化されヒットする。本作品はそのまた後に制作されたテレビドラマである。

  主人公の役を根津甚八が演じる。まず金に困った主人公が専売公社の集金人と運転手を殺害し逃亡するがすぐ指名手配される。主人公は投身自殺を偽装したり京大教授のふりをして旅館に泊まったり弁護士に化けて法廷に出たりする。今時の事件とは違って実にのんびりとしたユーモラスな風に描かれている。

  最後は教誨師を騙そうと東京の弁護士を装い熊本に行くのだが教誨師の娘に見破られ御用となる。死刑となった主人公の遺骨は逃亡中に知り合った女性によって出生地の五島列島の海に撒かれた。

  この犯人はサイコパスだと思われるが巧みに女に近づき利用する特技を持っていたようだ。「復讐するは我にあり」と云うのも思わせぶりなタイトルだが本件とどういう関係があるのかは明示されなかった。我というのは神のことのようだ。長崎県出身の犯人の家がキリスト教だったことがドラマでは述べられている。