映画 ライアンの娘 (1970)

第一次世界大戦中のアイルランドの小さな村でのいささか不謹慎なお話である。村の置かれた状況は厳しい。若者には仕事も無くイギリス軍が駐屯して居る。酒場の経営者で工作員のライアンにはローズという美しい娘がいた。村には釣り合うような男がおらずぶらぶら遊んでいたローズだが年の離れたインテリ教師が出張から帰ってくるとその日に告白して妻にしてもらう。

初夜のベッドでは淡白な夫に肩透かしを喰らったようだ。自分の不幸を嘆きながら浜辺をさまようローズに神父が道を誤るなと諭す。そこへ若い英国人将校が療養がてら単身赴任して来る。程なく二人は不倫の関係になってゆく。美しい自然描写と共に水面下で独立を準備している男たちのストーリーも進行して行く。ジョン・ミルズ扮する道化役のマイケルが最初から最後までパントマイムの名演技でローズの運命を導いて行く。不倫が知れ渡ったのも将校が自殺したのもマイケルのとぼけたような行動がきっかけである。

独立派の活動家が暴風雨の海から武器を回収するシーンはダイナミックでエネルギーにあふれ感動的だったがイギリス軍がご苦労様という風に銃を構えて待っていた。捕らえられた首謀者達には絞首刑が待っている。その後は群衆によるローズへのリンチがあり夫婦の石もて追われる結末が描かれる。ダブリンに出て離婚するという二人に神父から最後のアドバイスが伝えられる。その後二人がどうなったのかはわからない。