映画 もののけ姫 (1997)

1997年配給収入1位で113億である。何かが起こり始めている。

作品は室町時代の農村と森における人間たちと精霊化した動物の間の死闘を通して環境破壊と戦争の悲惨さを描きながら人間と精霊と動物の間に生まれた愛が結実するまでの物語である。

東国のある村が祟り神化した猪に襲われる。弓矢の達人である青年のアシタカはこの猪を退治するが右腕に呪いを受けてしまう。この呪いを解いてもらう為にアシタカはシシ神の住む森へと旅立つ。この時アシタカは地侍 対(農村+タタラ場)と精霊化した森の動物 対 農村という構図を目の当たりにする。動物側の尖兵として山犬の親子+もののけ姫が登場し鉄砲を使って危険動物を殺しているタタラ場の女頭領エボシの命を狙って来る。タタラ場で捕まってしまったもののけ姫の命を助けようとしたアシタカは撃たれてしまい逃げ出したものの死にそうになる。もののけ姫にシシ神の住む森に運ばれたアシタカは一命を取り留める。どうやらシシ神は死にゆく者を生き返らせ生きているものを死なせる力があるらしい。

姿を現したシシ神は朝廷の命を受けた怪僧ジコ坊とエボシによって首を討ち取られその結果吹き出た汚染粘液とダイダラボッチにより森も農村もタタラ場も壊滅する。一旦死の森となったところでこれはヤバイと思ったアシタカは討ち取った首をダイダラボッチに返却するのだがとりあえずそれによりアシタカ達は助かり森も少し再生する。

この作品は宮崎監督の単なる想像力の産物かもしれないが後の原発事故の暗喩の様でもある。自然が人間に牙を向いて原発を破壊し自然を壊滅させ人間に放射能の呪いをかけたがその背後には利権を貪り続けた企業と権力者、バラマキによって沈黙した地元民の存在があった。結局14年後に起こる事故は防げなかったのであり作品が社会に及ぼした影響は少なかったのである。日本もシルクウッド(1983)の様な硬派の映画を作っておけばと思ったが原子力戦争(1977)、人魚伝説(1984)というのがあった。だがその後メディアはコントロールされてしまうという状況になる。