映画 HERO (2007)

2007年興行収入一位で81億5000万である。第二位の劇場版 ポケットモンスター ダイヤモンド・パール ディアルガVSバルキアVSダーク、50億2000万は見ない。

風変わりで格好良い若手検事公平(木村拓哉)が東京地検に帰って来た。6年待たされた事務官の舞子(松たか子)はチクチクと皮肉を言っている。事件は路上での暴行事件で縁石に頭をぶつけた被害者は死亡、加害者は逮捕され犯行を自白したが裁判が始まると一転して犯行を否認する。公平は被告の犯行を立証する為舞子を連れ回し現場検証と証拠集めに奮闘する。被告側の弁護士は敏腕で有名な蒲生弁護士(松本幸四郎)である。犯行を否認した訳は疑獄事件の容疑者である花岡元大臣(タモリ)のアリバイ工作に加わることによって自分のアリバイも成立するというトリックが背景にある。さて原告側不利で進んでいった裁判も大詰めを迎えるが間一髪で検察事務官らが見つけた証拠写真のお陰でなんとか有罪判決を勝ち取ることができたのである。

まあこれは筋を全部オープンにして時間の流れで見ているだけのものなので上級者には面白みのない映画になるだろう。それと物事のベクトルの方向が現実と逆になっている感じがする。例えば社会を裏から支える検察官が何故HEROなのか。傍若無人な公平にかしづいている舞子は何なのか。普通ならモラハラであり公平のような上司は心底毛嫌いされるはずである。特捜部が捜査資料をよこせと介入して来た時、同僚検事の弁舌により大人しく退散したのは何なのか。上層部の理不尽が通るのが官僚の世界である。韓国で捜査した時あちらの検察が実によく協力してくれたのは何か。反日の態度を取られるのが本当ではないのか。検事の公平が出世を考えず庶民のためにどんな小さな事件でも正義を追求するため一生懸命やるという姿勢はいいけどそれを公言するのは如何なものか。これらは全部都合よく設定されたものであり主人公がキムタクである事でそれが許されているのである。