映画 ホット・スポット (1991)

テキサス出身の作家チャールズ・ウィリアムズの小説、Hell Hath No Fury(1990)をデニス・ホッパーが映画化したものである。主人公のハリーは渋さと甘さを兼ね備えたちょっと紳士風に見える流れ者でテキサスの田舎町にやって来ると中古車ディーラーの店員に収まる。常宿としたホテルの窓から見えるネオンと流れる気だるい音楽は映画「さらば愛しき人よ」のフィリップ・マーロウのスタイルの踏襲だがこちらの監督の方がセンスがいい。

事務員のグロリアは見れば見るほど引き込まれる妖精のような美女でハリーは彼女目当てにここに就職したのである。ハリーは集金に出かけたり、銀行口座を開いたり、ストリップバーで酒を飲んだりするうちに銀行強盗の計画を立て実行する。社長の若妻のドリーはこれも絶世の美女で少々悪い女だがハリーを誘惑して関係を持つ。一方グロリアとの逢瀬も重ねるハリーだが事情を打ち明けられるとグロリアに付きまとう恐喝男をぶちのめす。いよいよここを出てカリブ海で二人で暮らそうという段になるのだが社長が死んだという知らせが入る。

結局心臓に持病があった社長を興奮させて病死させたドリーは、ハリーとグロリアを自宅に呼び寄せるとうまく作った遺書を使って、ハリーとグロリアを離反させハリーを自分の物にする事に成功するのである。とても頭の良い女だ。ハリーはムカついたようだが自分も結構悪なのでこれで良いかと諦めるのである。