映画 七人の侍 (1954)

盗賊の襲撃を予知した村落が相談の末軍事顧問としての武士を雇って村落を守ろうとする話である。世界で見るとわりと普遍的なテーマかもしれない。3時間にも及ぶ長編大作だ。予め2時間を見ておいて最後の1時間は風呂上がりにビール飲みながら見た。

今回は雇われた武士のモラルの高さが際立っているがもし失敗すれば皆殺しになる陰惨な話である。つまり話の展開にユーモアの要素が無いと重苦しいだけの映画になるのだが幸いユーモアは満載である。特に農民出身の菊千代(三船敏郎)のキャラクターが皆の笑いを誘うのである。リーダーの勘兵衛(志村喬)は腕も立つし軍師として軍略にも長けている。飄々とした風格があり慕ってくる武士が良い働きをするのである。

一方の盗賊団はモラルに欠けるとは言え武士の端くれである。種子島3丁を持ち騎馬から弓を射掛けてくる破壊力は抜群である。そこで一騎づつ呼び込んでは入り口を塞ぎ取り囲んで落馬させる方式をとる。勘兵衛の作戦である。これが功を奏し農民側の被害は最小限で済み盗賊を全部殲滅した。武士の死者は四名となった。大勝利だが四名の墓碑を見ながら言った勘兵衛の言葉がふるっている。近くにいた七郎次(加東大介)がえっと驚いたくらいである。

若武者勝四郎(木村功)と村娘との恋もあるし琵琶法師、田楽踊りと民族音楽も収録してある。エンターテイメント性と学術性も兼ね備えてあるというモンスター映画である。