映画 チャイコフスキー (1970)

ロシア貴族の家庭に生まれたチャイコフスキーは幼少時に音楽が頭の中で鳴るという天才としての才能が芽生え、やがて作曲家としての人生を歩むようになる。だが作品を書いても評論家のレビューで酷評され続けるという目にあう。ピアノ協奏曲は友人のルビンシュタインにも演奏を断られる有様である。どうやらロシアの音楽界は旧守的であるばかりでなく底意地も悪いようである。だがチャイコフスキー独特の抒情的な音楽に感動して惜しみなく援助してくれるフォン・メック夫人の様な人も現れる。

チャイコフスキーは人格的には偏屈で陰鬱なところもあり友人とはしばしば対立する。だが音楽院教授で男前であるチャイコフスキーの妻の座を狙う女も現れてチャイコフスキーはミリュコーワというろくでもないのを妻にする。結婚して後悔するのだがあとの祭りでとうとう自殺未遂まで行くが結局大金を払って別れてもらうのである。この時のお金はフォン・メック夫人が用立てた。パリでルビンシュタインが客死するがピアノ協奏曲のパリでの評価はどうだったのだろうか。映画ではよくわからなかった。チャイコフスキーは友人のツルゲーネフとも喧嘩してロシアに帰ってしまう。

この頃はフォン・メック夫人にも縁を切られており苦悩するチャイコフスキーだが歌劇「スペードの女王」を書いてついに大成功を収める。賞賛され聴衆に取り囲まれて歩いて行くチャイコフスキーだがその後謎の死を遂げるのである。享年53歳。

登場する俳優は肖像画そっくりで背景の作りもよくビジュアルは満点だと思う。音楽はふんだんに使われているが100%効果的かどうかはなんとも言えない感じである。

チャイコフスキーの伝記物としてもう一つ「恋人たちの曲/悲愴」があるがこちらは打って変わって悪趣味で露悪的な作りの映画である。月曜ロードショーでみてびっくりした思い出がある。