石原家の人々 石原良純著 (2001)

石原家次男の著者による回想的ルポルタージュである。家長たる石原慎太郎と妻典子、4人の子供達が逗子の入り江を見下ろす豪邸で繰り広げる緊張した生活と成城に住む叔父裕次郎との交流を中心に描かれている。著者は次男の立場で物を見たり経験したりしており実に良く本質を見抜いており文才もある。筆致には端々に謙遜がみられるが学業の方は慶応幼稚舎から慶應大学まで余裕でこなし、父とはヨット、ゴルフ、テニスのお相手をするというスーパーお坊ちゃんという人物である。大学入学のお祝いに叔父からオレンジ色のフェアレディをプレゼントされた事、裕次郎の慶応病院での手術、肝がんの悪化による最後が近くにいた甥の目から見た事実として書かれている。報道されていたことと大体同じである。代議士だった父慎太郎が舌禍問題から議員をスッパリ辞めた後都知事選に打って出る様子や、選挙妨害とみられる四男への中傷についても書かれている。大学の頃新築中の叔父の家を見せてもらった時の描写にイギリスの図書館風の書斎という行があり豪放なヨットマンという印象の慎太郎に対し繊細なロマンチストの裕次郎という構図が垣間見れる。結局著者は石原プロに入社し俳優としての人生を歩むことになる。