映画 脳男 (2013)

脳男とは変なネーミングだが劇中の誰かがそう呼んだからである。主人公の脳男(生田斗真)は大富豪の孫で、両親を交通事故で失ったという設定の少年が特殊な教育によって無垢な心を持つ殺人マシーンになったというものである。

出だしは江戸川乱歩又は埴谷雄高風のレトロな雰囲気があるが徐々に現代日本の風景が現れてくる。もう一人の主役は美人精神科医の鷲谷真梨子(松雪泰子)で偶然捕らえられた脳男と対峙する。悪役として登場するのがシリアルキラー緑川紀子二階堂ふみ)でバスを病院を爆破するという大量殺人を生きがいとするサイコパスである。

これら三人に噛んでくるのが刑事の茶屋(江口洋介)でダーティーハリーのように行動する。脳男がシリアルキラーを退治するというのが本筋だが人質になった鷲谷真梨子が脳男を説得して感情を呼び覚ます瞬間シリアルキラーが爆破ボタンを押そうとする瞬間茶屋が女を射殺するというきわどい場面がクライマックスになっている。

娯楽作品なのでハッピーエンドとなるが、犠牲になった新米刑事や機動隊がいかにも憐れという印象を残す映画である。