映画 昭和残侠伝 死んで貰います (1970)

本作は極めて昭和色が濃い内容でありタイトルも衝撃的である。主演の秀次郎(高倉健)は深川の料亭喜楽の若旦那だが元ヤクザという訳ありな人物である。しばらく服役していたが今は喜楽の板前として堅気の生活を送っている。板前長(池部良)からも可愛がられ、美人芸者の幾江(富司純子)からも慕われているという恵まれた立場にある。銭湯の場面で背中の唐獅子牡丹を見ることができる。ヤクザのシマ争い、料亭の乗っ取りなどのトラブルに巻き込まれた秀次郎はとうとうカルマを全開させて相手の親分を叩っ斬るという陰惨な話である。

だがそれはそれとしてよく考えて見ると高倉健萩原健一池部良→梅宮辰夫に入れ替えたら前略おふくろ様の舞台とよく似ているとも言える。田舎出のとっぽい青年萩原健一に個性的な脇役を配するとあのような面白い作品が生まれてくると考えれば何だか楽しくなるのである。