カンガルーノート (3)

船が暗渠水路を進むと滝壺に落ち、船はバラバラに壊れベッドだけが河原に乗り上げた。周りの景色は夕暮れか朝焼けの荒涼としたもので、硫黄の匂いが鼻に付く。川は水がきれいで40度の露天温泉となっている。主人公が露天温泉に浸かっていると市の職員が現れて、賽の河原ではお助けクラブによるショーが始まる。バスでやってきた観光客からおひねりを集めると幼児たちは保育園に帰っていった。どうやら主人公は観光課の嘱託として働くことになるようだ。

この章を要約するとこれだけだが、この場面は演劇仕立てになっていて、幼児たちが歌を歌いながら賽の河原の石積みを演じるのである。舞台効果が増すようにト書き風に細かく書かれている。ここではシュールな会話のやりとりは影を潜めている。

主人公は自分の病気の事を気にしながら、下がり目の少女に目をつけてモノにしたいと考えるという不埒な面も現している。これは作者のリアルな性癖と考えていいのだろうか。