映画 子鹿物語 (1946)

フロリダの森林を開拓してトウモロコシやタバコを栽培して生計を立てているバクスター一家の物語である。ポツンと一軒家のようなところに住むバクスター家の一人息子のジョディは一人で遊んだり父親の手伝いをしていたが、母親のオーリーは心を閉ざしたようなところがあり、時々辛辣な皮肉を吐くのである。

ジョディは小動物のペットを飼いたがっていたが母親は絶対に許してくれない。だが父親がガラガラ蛇に噛まれた事が元で子鹿を飼うことが許された。これが子鹿物語物語の発端である。子鹿が小さい頃はジョディと楽しく遊んで生活していたが、だんだん作物を荒らすようになる。最初は父親も大目に見ていたが、タバコを荒らし、穀物を荒らすまでになると一家の生活は困窮しオーリーの精神状態も悪化する。しかも父親は体を悪くしていてベッドから起き上がれない状態である。

言い忘れていたがこの映画はとてもリアルな熊狩りの場面があり一見の価値がある。

ついに最悪の事態が訪れる。斯くなる上は森へ行って子鹿を銃殺するよう父親がジョディに申し渡したのである。ジョディは子鹿にフラッグという名前をつけてとても愛していた。

殺せというのは本当にきつい。ヒトラー共産党の映画を思いださせるシチュエーションである。これをやったためにジョディは精神がおかしくなりそのまま家出してしまった。

物語はジョディが帰ってきて原作どおりハッピーエンドになったが、現実ではどうなるか微妙なところである。悲劇になる要素がプンプンと立ち込めている。

言い添えておくと、嵐が去った空を見て父親が”Here comes the sun"と呟いたシーンがあった。