2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

失われた時を求めて (67)

アルベルチーヌは来ているはずと思っていたプルーストは肩すかしを食わされる。帰るや否やプルーストの問いかけに対しフランソワーズは「どなたもいらしてませんけど」と言ったのだ。その言葉に動揺したプルーストはまたもや4ページくらいフランソワーズに関…

東洋文庫 琴棊書画 (1958)

著者の青木正児氏は京都帝大卒出身の中国文学研究者である。本書は当時山口大学教授だった著者が定年退官の頃にまとめられた論考、随想集である。 本編を読んでみて用語の多さと堅苦しさが感じられた。身近な感じのするエッセイを一部だけ紹介する。 《とあ…

失われた時を求めて (66)

200ページを費やされたゲルマント大公夫妻主催の晩餐会の様子だが大邸宅の内部の描写がやっと出てくる。以下引用文。(吉川一義訳) 《私がゲルマント公爵夫人の館で晩餐をとった最初の夜、夫人がこの部屋について話してくれたことが原因なのかはわからない…

失われた時を求めて (65)

プルーストの文章の特徴を検討する。以下引用文。(吉川一義訳) 《文学の通人であれば、演劇界の大御所の新作を観るために劇場に出かけるときは、つまらぬ一夜になるはずはないという確信を顔にあらわし、座席案内係に持ち物を預けながら、すでに口元には洞…

2020年プリアンプ (17)

プリアンプ IIIの不具合を全部取り除き、昨日よりメインシステムで稼働させている。カートリッジはMM型を採用した。 思い描いたものがそのまま形になったという感じである。 全回路図を示す。電源入力はUSB Bタイプとなっている。モバイルバッテリー又は5V電…

東洋文庫 菅江真澄遊覧記 1 (1783年〜晩年)

本書は三河出身の大旅行家、菅江真澄による旅日記である。版本は秋田藩明徳館所蔵の稿本を元に何度か出版されているが、この東洋文庫版は五冊からなり現代文とスケッチ及び詳しい研究解説から成っている。ジャンルとしては民俗学に非常に近いが、つげ義春の…

失われた時を求めて (64)

さてプルーストはゲルマント大公夫人には声をかけられて何とか紹介儀礼を終えることができたが問題はゲルマント大公である。相変わらず喧しいシャルリュス氏を避けながら進んで行くとある婦人に声をかけられる。ところが誰なのか思い出そうとしても名前がう…

失われた時を求めて (63)

いよいよゲルマント大公妃の晩餐会に出席する。以下引用文。(吉川一義訳) 《私は、先に到着した数人の招待客の列の後ろに並んでいた。私の真向かいに見えた大公妃の美貌は、並みいる貴婦人たちのなかで、たしかにパーティーの唯一の想い出となるほど抜きん…

失われた時を求めて (62)

第八巻に入る。話は戻ってゲルマント夫人の帰宅を館の階段の物陰から見張っていた時プルーストが目撃したものは、シャルリュス氏と仕立て屋ジュピアンとのホモセクシュアルを思わせる仕草だった。この巻の主題であるソドムが姿を表して来た。プルーストは隣…

失われた時を求めて (61)

プルーストの上から目線が炸裂する。以下引用文。(吉川一義訳) 《とはいえ氏は社交人士よりも格段に優れていたから、社交人士とそのありさまを会話の材料にしてはいたが、だからといって社交人士から理解されてれいたわけではない。芸術家ぶってしゃべる氏…

2020年プリアンプ (16)

アッセンブリーが完了した。 あとは試運転して改良することになる。

失われた時を求めて (60)

晩餐会もようやくお開きとなりプルーストは馬車でシャルリュス邸へと向かう。毒気に当てられたような、大好物の中に放り込まれたような体験でプルーストの頭の中は変なものでいっぱいである。この後意外な結末が待っていた。 サロンに通されたものの三十五分…

失われた時を求めて (59)

ロベールとの夕食の翌日、プルーストはゲルマント邸に招かれる。侍従たちが驚く中、主人に案内されたプルーストは、まず念願だったエルスチールの絵の鑑賞をさせてもらう。そしていよいよ晩餐の席に案内されるのだが、急ぎ足で招待客に紹介されたプルースト…

東洋文庫 魯迅 (1965)

本書は中国文学者、丸山昇による魯迅評伝である。さまざまな文献に基づいて論考がなされているようである。イギリスのドキュメンタリーに倣って「清国7歳になりました」風に書く。 魯迅7歳、浙江省紹興城内在住。祖父は進士であったという。実家は千坪の邸宅…

2020年プリアンプ (15)

昨日穴あけしてここまで来た。 ここではNutubeは点灯してないが、 回路を見直したら普通に点灯した。

失われた時を求めて (58)

霧の中ロベールとレストランに行くプルースト。店主にゴミクズのように扱われたプルーストはショックを受け、また長い評論が始まる。若い貴族について、ユダヤ人について、フランス人の上流と庶民について縷々述べられる。結論めいた章句が出現した。以下引…

2020年プリアンプ (14)

いよいよプリアンプ III の製作に取り掛かる。随分手間がかかったが何とかできそうである。

失われた時を求めて (57)

バルベックのホテルでプルーストが一目惚れしたブルターニュの貴族ステルマリア嬢 –– 今はステルマリア夫人 –– の事を考えるとプルーストにとっては一時間くらいすぐ過ぎ去ってしまう。その夢想の一つを紹介する。以下引用文。(吉川一義訳) 《たとえ技巧を…

失われた時を求めて (56)

アルベルチーヌのせいでヴィルパリジ夫人邸には芝居が終わったころ到着する。さて第二サロンのソファーに座っていたプルーストに重大な転機が訪れる。ゲルマント夫人が通り過ぎようとしてプルーストに気づき、ソファーに腰掛けてこう言ったのである。以下引…

2020年プリアンプ (13)

イコライザーには金田式CR型無帰還イコライザーを試してみた。Nutube型は後になった。 全回路図 ソース間の音量を合わせて音楽を楽しんでいる。 端正で美しい音と言える。

失われた時を求めて (55)

ロベールは結局ラシェルとの仲を母親の試みによって終わらされ、今はモロッコのタンジールにいる。ラシェルはロベールとプルーストの仲を割くために自分はプルーストに襲われそうになったなどと嘘を吹き込む。それにより一時友情は壊れたが今はなんとなく元…

東洋文庫 六朝詩選俗訓(1774)

本書は六朝時代の俗謡を江戸時代の田中江南が訳し訳注を加えたものである。原詩は宋代の『楽府詩集』全百巻から採られたもののようである。書き下し文と訳を少し紹介する。 梁 子夜四時歌 武帝 春歌 蘭葉 始めて地に満ち 梅花 已に枝に落つ 此の可憐の意を持…

失われた時を求めて (54)

第七巻に入る。ある秋の朝、プルーストの目の前には真っさらな人生が広がっていた。呪縛だったものが消え、自由に使える資産と、すでに知り合った女達と繰り広げられるであろう恋の予感、プルーストが感じていたものはまあこんなところだろう。 その日の夜ヴ…

2020年プリアンプ (12)

プリアンプ II の配線が完了した。 この後はイコライザーのゲイン増加などの小改良を施してみる。

失われた時を求めて(53)

祖母の具合が一段と悪くなってきた。おなじみの牛乳療法、その頃普及して来た水銀体温計、各種解熱剤について論評のようなのが続く。さらにコタール、ドクター・デュ・ブルボン、シャルコという錚々たるドクターについて論評する。何故かその論評の口調たる…

失われた時を求めて (52)

シャルリュス氏はプルーストのいくつかの質問に答えると辻馬車にとび乗り去って行った。彼の回答を示す。以下引用文。(吉川一義訳) アルジャンクール外交官について《「あのアルジャンクールは、生まれは良くても育ちが悪く、外交官としては平々凡々、夫と…

2020年プリアンプ (11)

プリアンプII のために配線材を調達した。AWG22、20、18である。AWG18はアマゾンで購入した。 プリアンプ I の全回路図を示す。お蔭様でプリアンプ I はこの世のものとは思えないような音がしている。

失われた時を求めて (51)

(ヴィルパリジ侯爵夫人邸での茶会の続き。)帰り際、名文句が登場する。以下引用文。(吉川一義訳) 《夫人のかたわらにはゲルマント氏が、威風堂々と、どっしり腰をおろしている。おのが莫大な財産への意識があまねく五体にゆきわたり、全身の密度はことさ…