2021-06-19から1日間の記事一覧

小説 天北原野 (7)

不凍港である真岡漁場の描写がある。 《この家の望楼には、若い者が海を睨んで、鰊の群来を待っている筈だ。孝介もまた、桜井五郎治の世話になった年から、何年もこの望楼に登って、見張りの若者と共に、じっと海を眺めたものだった。夕暮れの海辺に、俄かに…