映画

映画 アガサ・クリスティの奥様は名探偵 (2005)

元の小説がいいし、制作陣も俳優も優れていて観て楽しい映画だった。 フランスの湖畔に建つ瀟酒な家に住む仲良し夫婦が会話を楽しんでいると、施設にいる叔母に会いに行く事を思い立つ。オープンカーで美しい風景の道を楽しく会話しながら、古いお城を改修し…

映画 引き裂かれたカーテン (1966)

ヒッチコック監督のサスペンスドラマである。ストーリーはまあそれほど良いものでもないが、ロケ地のヴィジュアルが面白い。北欧フィヨルドクルーズから始まって、コペンハーゲンのチボリ公園、東ドイツの当時の街並み、ベルリン美術館、ライプチヒにあるカ…

映画 父親たちの星条旗 (2006)

この映画は『硫黄島からの手紙(2006)』と視点が逆になっているというユニークな作品である。両者ともスティーヴン・スピルバーグが関与しているだけあって実写の迫力は素晴らしい。 戦争映画ではあるが、力点はあの摺鉢山制圧後、海兵隊員らが星条旗を山頂…

映画 クイーン (2006)

ブレア首相と王室関係者については役者を起用し、ダイアナ妃については報道映像を使う事で時系列に忠実なドキュメンタリー風なドラマになっている。 1997年の夏、エリザベス女王がいつものようにスコットランドのバルモラル城で静養していると、事件が起こっ…

映画 硫黄島からの手紙 (2006)

クリント・イーストウッド監督作品で、戦争物でありながら心暖まる場面が多いという映画である。非国民という言葉を金科玉条として、怒鳴り散らす軍曹風情は出てくることは出てくるが、心優しい司令官や、人間らしい元憲兵が出てくるところがいい。中盤では…

映画 のだめカンタービレ最終楽章前編(2009)後編(2010)

テレビドラマは全部観たがシュトレーゼマン、ハリセンの人、ペトルーシュカのギャグには破壊力があった。本編は時間の関係からかギャグは控えめで、登場人物の留学やら海外での活動が描かれている。音楽も新しいものが登場する。 千秋はウィーン楽友協会での…

映画  タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 (2011)

実写なのかと思って観ていたら人物の顔が全部CGだった。背景や建物もよくできたCGである。だが演じている俳優さんがいるので、デジタルで撮影する工程があるのだろう。 ストーリーはほぼ完璧で、ずっこけるキャラも配されており、大人でも十分楽しめるクオリ…

映画 メガネ (2007)

ここ与論島に住む人々は達観というか、嘘のない世界に生きているのだった。裏を返せば東京は嘘だらけということになる。 プロペラ機で与論島の空港に降り立った東京のOL風のたえこはハマダという民宿に投宿する。主人は笑顔でよく喋るが押し付けがましくない…

映画 ハウス (1977)

世に出るのがなんだかんだで遅かったような気がする。大林宣彦監督のポップ風なスリラー映画である。(観る者とのミスマッチにより)あんまり伝わってくるものが無かったが、ストーリーとは関係ないところで西洋風の顔立ちの女優さんがでてくるのである。し…

映画 野のなななのか (2014)

為政者による戦争への誘導を国民が一回でも止められたらそれは人類の歴史のエポックになるだろう。 大林宣彦監督作品をもう一つ観る。3時間弱の長大な作品だが、自主制作反戦映画っぽいものながら、美人女優とベテラン俳優を揃え、マニアックでファンタジー…

映画 さびしんぼう (1985)

大林宣彦監督作品。主演尾美としのり、富田靖子。尾道三部作のラストであり、なんだか即興で作ったような映画ではあるが後半からはしみじみした感じが出てきて、ここには真実のかけらが落ちているのでは?と思った。 まあ根っからの映画人だけあって監督憧れ…

映画 他人の顔 (1966)

まあ空前絶後の制作スタッフだし、原作者の脚本で2時間にまとめた作品ということで、文句を言う様な筋合いもなく、よくぞ残してくれたというべき作品である。 安倍公房のセリフがちりばめられている。と言うことは一種饒舌なのであるが、嘘つきのそれではな…

映画 シェルタリング・スカイ (1990)

汽船から艀で上陸した紳士と淑女の三人組は別に密入国者といういうわけでもなく、普通に税関で手続きして当地のグランドホテルに宿泊する。女流作家と作曲家の夫婦、それと友人という組み合わせである。前途洋々のニューヨーカーという印象である。 この後は…

映画 老親 (2000)

斑鳩の里の旧家の長男信重は仕事熱心なサラリーマンで、妻と二人の子供と東京で暮らしていた。ある日妻の成子にかかってきた電話を皮切りに義父の介護や親族との軋轢に翻弄されてゆく日々が始まる。だがそれは決して悲惨という程ではなく、経済的にも恵まれ…

映画 バンドワゴン (1953)

毎度の事ながらこの手のバンドスコアはトロンボーンとシンバルとストリングスのアレンジが派手で素晴らしい。よく研究する必要がある。主演がフレッド・アステアで往年のボードビルスタイルから現代風のダンシングまで網羅した盛りだくさんの内容のミュージ…

映画 ガンジー (1982)

3時間もある映画ガンジーを見終わったのでつらつらと感想を述べてみる。 偉人マハトマ・ガンジーの伝記映画であるが、インド独立の経緯を詳しく描いた映画でもある。ドキュメンタリー映像で独立式典を見たことがある。その頃の映像はガンジーのものも含め豊…

映画 ワンダーラスト (2008)

マドンナ脚本、監督の若者の葛藤を描いた映画である。バレリーナを目指すホーリー、ロック歌手を目指すウクライナ出身のアンドレ、アフリカでの奉仕活動を夢見るジュリエットがシェアハウスを拠点にロンドンの街で活躍する。 最初から登場人物が世界観を語る…

映画 愛の果てへの旅 (2004)

スイスの老舗ホテルを宿にして暮らしている謎の中年男、引退した大金持ちの様にも見えるこの主人公がズームアップされる。彼は他の宿泊客達と食事やカードゲームもするが、日常はこれといった事もなく、風体としては大手銀行の役員に見えなくもない。実際の…

映画 はなれ瞽女おりん (1977)

話を盛り込みすぎ、明示しすぎな点を除けば、映像美と格調の高い音楽、俳優陣の過不足ない演技、照明やカメラワークなど技術的に称賛に値する映画である。又、伝統文化を後世に伝える役目も十分果たしている。 前半は盲目の少女おりんの生い立ちから、禁を犯…

映画 赤ずきん (2011)

村人とは?伝説から起こる悲劇とは?こういった古くからあるシリアスな問題に目を向けた大人向けのストーリーを美しいビジュアルで作り上げた作品である。題名どおり一部童話の赤ずきんとオーバーラップしている。 辺境の森にある小さな村で、ある満月の夜に…

映画 セックスと嘘とビデオテープ (1989)

いわゆるセレブ社会のメロドラマかと思って見ていたら、人間の真実や深層に迫るような部分がある作品だった。 美人姉妹の姉アンは弁護士のジョンとセレブな生活を送っているが、セックスレスであり精神科医のカウンセラーを受けている。8年ぶりに故郷に戻っ…

映画 エターナル・サンシャイン (2004)

これは洋画で時々ある変わったテイストの独創的な映画である。出くわすと得した気分になる。邦画ではそういうのはほとんど無い。記憶を部分的に消去する新手のビジネスと、恋愛で起こる古典的な揉め事を組み合わせたストーリになっている。 気まぐれでやや軽…

映画 ブーリン家の姉妹 (2008)

これは長い長いヘンリー8世の物語のほんの一部であるが随分と波瀾万丈な悲劇となっている。 男子を授からない王妃がことの発端である。ヘンリーは新たな愛人を求めて貴族の領地で狩猟を行い、気に入ったメアリーを王妃の侍女にして女児をもうける。がこの子…

映画 Wの悲劇 (1984)

テーマとしては女優を目指す劇団研究生がオーディションを経て有名劇場での公演に至るまでの経験を描いたものだが、単なるサクセスストーリーではなくとても複雑なものになっている。 Wの悲劇というのは和辻家で起こる殺人を主題にしたサスペンス小説であり…

映画 河内山宗俊(1936)

この映画の元になっているのは『天衣紛上野初花』という歌舞伎であり、これは河竹黙阿弥の最高傑作と言われている。「くもいにまごううえののはつはな」と読む。 そういう事は知らずに視聴したので誰が河内山なのか見終わってから調べて知った。河内山宗俊は…

映画 ブルク劇場 (1936)

ブルク劇場専属の名優ミッテラーはプロンプター兼執事のゼードルマイヤーと気ままな二人暮らしをおくっていた。ファンに取り囲まれるのを嫌がり、男爵夫人のサロンへの招待も全部断っていた。ところがある日散歩の途中で教会で見かけた仕立て屋の娘レニに一…

映画 ディスタンス (2)

実行犯は勝の兄、実の元妻、きよかの夫、敦の姉ということになる。敦以外は出家にまつわるいざこざが寸劇として描かれているので事情は明白だ。問題は敦である。どうやら姉は教祖の娘であり、弟の敦は教団から距離を置いていたようだ。それは敦の実家に飾ら…

映画 ディスタンス (2001)

オウム真理教の強制捜査から5年後に着手され翌年に完成した映画である。この物語ではテロを起こした教祖、実行犯四名は自殺しており、事件から三年後の実行犯遺族の後日談として描かれる。 簡単な事件の解説から始まり、実行犯遺族四名が集合して慰霊のため…

映画 皆月 (1999)

冒頭の文学的な置き手紙を残しての妻の失踪からの主人公の非日常は100%新宿の裏社会の解説である。主人公のオッサンはゼネコンに勤めるサラリーマンだったが妻の失踪に呆然としながらも会社を辞めて、ヤクザをしている義弟の組に入れてもらう。そこでソープ…

映画 憑神 (2007)

運命とか祟りなどというものは容易く変えられるものではないのだ。この映画の最も悪いところは、貧乏神や疫病神に取り憑かれた主人公が話し合いにより難題を解決してゆくところである。凶悪な相手でも話し合えば問題は解決する、などと映画で宣伝する行為は…