エレニとアレクシスは旅回り楽団のトラックに乗せてもらい村を後にする。テサロニキにたどり着くがそこは難民都市だった。1922年トルコに敗戦したギリシャはスミルナからの難民をここに押し込んだ。オペラ劇場は難民アパートのようだ。②
或る日二人が連れて行かれたところは楽団の練習場だった。楽団が演奏しながら二人を取り囲む。アレクシスはアコーディオン弾きだ。しばらく経った或る日アレクシスは楽団長のニコスに巡業に誘われる。エレニは賛成する。食べてゆくにはそれしか無いからだ。巡業先に到着してみるとレストランは倒産し閉店していた。③
バイオリン弾きのニコスは謝罪し道で突然バイオリンを弾き始めるが通行人に笑われる。ニコスは帰りの汽車でほうけたようになり泣き出す。今の状況の惨めさがこたえたのだろう。④
正式に音楽をやりたいアレクシスは場末の演奏しか仕事の無い状況が嫌になりエレニから去ろうとするがマルコスが楽団を紹介してくれる。アレクシスはオーディションに合格するが巡業先がアメリカだと告げられる。盗み聴きしていたエレニは夜の港へと走って行く。そこには露店のようなカフェがあり腰掛けて泣いていると見知らぬ誰かが踊りを誘ってきた。しばらく踊っているとアレクシスが駆けつけてきてエレニを連れて帰る。
エレニはアレクシスの子(双子の兄弟)を出産していたが遠方で育てられ大きくなっていた。二人は子供らと再開する。子供らの反応はクールなものだった。労働者の祭りに楽団が出演するのだが官憲に酒場での演奏を禁じられていてできない。そこで一計を案じた楽団は廃屋になった昔の酒場で演奏を始め労働者を誘導する。
労働者は踊りながら楽団の生演奏を楽しむ。この映画が長いのは劇中で音楽をたっぷり聴かせているからだ。踊りに来た義父はアレクシスの伴奏でエレニと踊りその場で倒れて死ぬ。このときアレクシスは親殺しの汚名を着る。
村で葬儀が行われた。船が整然と並ぶ様は秘密結社っぽい。さらに実家の家畜が殺されて木に吊り下げられている光景を二人は見る⑤。実家に帰ると村人による投石で窓が壊された。そこに洪水がやってくる。翌朝船が来て夫婦と子供二人は丘へ上がる。村人は野宿することになる。夜キャンプファイアで女たちがイコンを持ってぐるぐる回っている。もしやこの日は復活祭か。翌日新たな移住先を求めて船団が行く。
ギリシャでもファシストが勢力を強め労働組合の運動家は逮捕されてゆく。外に出てはダメなのだ。それでも二人が白い布の丘を歩いていると楽団が布の陰からで現れて演奏を始める。楽団は演奏しながら波打ち際まで歩いて行く。二人は抱き合うが危険が迫ったのかみんな小屋へ逃げ込む。そういう中、銃で撃たれたニコスがこちらへやってくる。一言残して絶命した。
とうとうアレクシスが渡米する日がやって来た。アレクシスと妻子は乗船時間に遅れて来たがボートが待っていてくれて無事に乗れる⑥。その後エレニは反逆者を匿った罪で逮捕投獄されるが或る日釈放される。兄のヤニスが政府軍として戦死したからである。と同時にアレクシスの最後の手紙が渡される。アレクシスも戦死していた。エレニは釈放後行き倒れになる。昔の村人が介抱してくれるがエレニはうなされながらうわ言をいう。目覚めたエレニにはアレクシスのアコーディオンの音楽が聴こえていた。
内戦となったギリシャでは政府軍と反乱軍に分かれて戦争をしていた。兄弟は敵味方に分かれていた。エレニは前線まで行き兄弟の幻を見る。二人は再会して抱き合うが兄のヤニスは母が牢獄で死んだという。弟は反乱軍側のようだ。アレクシスの手紙がナレーションで語られ沖縄戦の様子と最後の消息を知らせる。ちょっと日本と関係があった。反乱軍の弟も廃屋で死んでいた。