映画 蜂蜜 (2010)

   ユスフ三部作の最後。トルコの広葉樹林の中、向こうからろばを連れた男がやってくる。鳥の声と足音が響く。立ち止まり木を見上げると蜂蜜を採取し始めた。上の方にミツバチの巣があるのだ。男はロープで登って行くが枝が折れ宙づりとなる。

     まだ子供のユスフが現れる。字を読む練習をしている。ムハンマド言行録だ。小屋には父親がいる。靴を履かせてもらいながら見た夢を小声で父に話す。父親は髭面の中年男で手から鷹を放った。それを追ってユスフは小学校へ行く。教室で先生が生徒に文章を読ませる。山間部の学校なのに皆んな身なりがよくルックスもいい。ユスフは積極的だが実力はまだ無いようだ。

   夜の食卓。父はミルクを飲みユスフはリンゴを食べる。土曜日父はユスフをろばに乗せ山へ出かける。花の名前を教えどんどん上へ登って行く。沢へ降りると父が倒れたが死んだわけではなかった。父にもてんかんの持病があるのか。川の向こうにはカモシカがいた。授業では皆んな黙々と字を書いている。他の子がリボンをもらい表彰されるのをユスフはじっと見ている。 ユスフは馬小屋に来ている。バケツをひっくり返しノートと服が濡れたようだ。 父の仕事の助手をしている。父が切り取った蜂の巣を指で舐めてみる。算数の時間。ユスフは宿題をやらずに行ったがノートを隣の席の子と交換して自分は罰を逃れた。

     ユスフが祈祷を受けている。持病の治療の為か。父が姿を消してからユスフは完黙状態になる。学校の帰り道河原を歩くユスフ。女の子のスカーフを拾って帰った。ユスフは欠席している隣の席の子を訪ねて行く。ユスフは帆船の模型を置いて行った。母親が呼んでもユスフは返事をしない。母親がクッキーを作っている。ユスフに卵を取りに行かせた。ユスフはミルクが飲めないのか。雨が降り続くが父親は蜂蜜探しから戻ってこない。母はユスフを祖母に預け警察に届けを出しに行く。祖母はキリスト教修道院に居た。ユスフは修道院を抜け出し里へ降りてゆく。家には母がいた。祖母の編んだセーターを着て祭りに連れて行かれる。草原に人が集まり市場が開かれ民族衣装の男女が踊っている。トルコ人は事情があって定住しているがこれを見ると遊牧民がさまになっていると感じた。

   結局父は冒頭のような死に方をしたのではとだんだん思えてきた。皆んな集まったのは死を知らせる為か。ユスフは学校に行かされる。読本をうまく読めなかったが最後まで残っていたリボンを貰う。学校から帰ってみると皆んな悲しんでいた。やはり父は事故にあっていたのだ。ユスフは一人森に入って行く。