映画 レッド アフガン (1988)
美しいアフガンの風景。村を襲うソ連軍の戦闘機と戦車。無慈悲なまでに破壊、殺戮してゆく。見事な戦闘シーンだが一台の戦車が渓谷に迷い込むことにより心理劇のような展開になってゆく。復讐心に燃えるアフガン人が戦車を追う。乗員を指揮する隊長はアフガン人を戦車で轢き殺せという無慈悲な命令を発したり、真面目な隊員をアフガン人だという理由で殺したり、反抗的な隊員コベチェンコを縛ったうえブービートラップを仕掛けて置き去りにする。この隊長の狂気に残りの隊員は付き合わされることになる。救援のヘリが来たが隊長は救援を拒み来た道を引き返す。コベチェンコはアフガン女性に見つかり石打ちの刑に遭うが男たちに助けられRPGを修理し戦車の破壊を狙うことになる。燃料を補給した戦車はオーバヒート寸前になるが水場まで何とかたどり着く。そこには水を飲んで死んだヘリの乗員達がいた。自分たちが毒を仕込んでいたのだった。そこへアフガンゲリラ達が迫ってくる。RPGの射程内まで来たが間一髪戦車のエンジンが始動し渓谷を逃げてゆく。段丘を走るゲリラ。射程角の関係で段丘の上には弾が来ないのだ。遂にコベチェンコがRPGを発射するが砲口に当たり戦車は辛うじて無事だった。街道に逃げようとする直前女たちの手榴弾が岩を落とし戦車を破壊する。RPGを撃ったのがコベチェンコだと気づいた時の隊員たちの反応が興味深い。隊長ら三人は捕らえられ殺されかけるが結局砂漠に放り出される。砂漠を逃げ惑う兵士というシュールな絵が現出するが女たちが現れ隊長を処刑した。まあこれで復讐は成就した事になる。このままコベチェンコはアフガンゲリラとして生きるのかと思ったらヘリに引き上げられ基地に帰っていった。このハッピーエンドはリアリズムとは違うと思うが極めてレベルの高い映画だと思う。